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『人を見て法を説け』 ― リーダーシップについて考える―

2011年05月20日

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「他人にものを説くときには、相手の性格などをよく見きわめて、相手に適した説明の方法をとれ」という意味の諺です。
この諺の「法」とは元々は仏法のことを指していたようです。
近い意味の諺では、「機に因(よ)りて法を説け」というものもあります。
こちらの諺は、聞き手に応じて適切な説法をせよという意味だったものが、臨機応変に対応せよという意味に拡大して使われる諺に変化したとのことです。
「機」とは機根(きこん)のことで、仏教の教えを聞いて修行する人達の能力や素質のことを言うそうです。
「人を見て…」は英語では、「cleave the log according to the grain」(木目に応じて丸太を割れ)と表現されるようです。
今回の大震災ばかりでなく、国際紛争等の大事件や事故が起こると、時の首相のリーダーシップを問う報道が活発になります。
一般社会の中でも、職場でのリーダーシップのあり方や地域社会でのリーダーシップなど、リーダーシップという言葉を頻繁に耳にします。
特に、春は新人を迎えたり、異動で加わってきた人などで社会全体が変動していく時期です。
社会や組織が活性化していく半面、適合する事が難しくなる人達が出てしまう場合もあります。
結論から申し上げると、人間社会を良くしていくには、仕組みや物質環境ではなく、結局は人が人と向き合い良い状況をつくっていくしかないと言われます。
それを導いていくのがリーダーシップといわれます。
皆さんはリーダーシップと聞くと、どんな印象をお持ちになりますでしょうか。
強力にグイグイと引っ張っていく様に管理強化されたり、力で抑えつけられるというようなネガティブな感情を持たれる方もいらっしゃるかも知れません。
今回は、そもそもリーダーシップとは何なのか、というところから考えていきたいと思います。

《リーダーシップの3つの段階》

リーダーシップには、大別して2つの定義があります。
ひとつは「対人的な影響力」で、もうひとつは「集団活動の方向づけ」といわれます。
後に付けるシップ(‐ship)は「状態」「技量」「術(すべ)」「身分」「職」などの意味があり、フレンドシップやパートナーシップ、スポーツマンシップ、フォロアーシップなどと使います。
リーダーシップには、次の3つの段階があると言われます。

●第一段階…指示を出したり、命令し、管理する。
●第二段階…目的や方向性を定め、人々の参加を促す。
●第三段階…参加する人々が発想し、行動する場をつくり出す。

これらは、集団で行動を起こすための「働きかけ」のレベルの違いをいったものだと思います。
集団での目標を達成するために、所属の人々に「影響力を及ぼす」ための働きかけです。
以上は働きかけの方法の巧拙や、影響力の内容の深さによって、分けた見方です。
もうひとつ、時系列的に見た三段階の分け方もあります。
混乱を避けるために、ステップという表現を使って説明します。

●1stステップ…試みられたリーダーシップ
●2ndステップ…成功(失敗)したリーダーシップ
●3rdステップ…効果的なリーダーシップ

試みられたリーダーシップとは、リーダーが指示や命令、共感、心を動かすなどして、フォロアーに影響力を及ぼす段階のリーダーシップです。
この働きかけが上手くいき、目標通りの成果が出た場合が、2ndステップの「成功したリーダーシップ」となります。
しかし、試みられたリーダーシップがいつも成功するとは限りません。
リーダーが適切な動きをしたにもかかわらず、メンバーが忠実に動かず失敗したり、リーダーもフォロアーも思い通りに機能したのに何らかのアクシデントにより失敗する場合もあります。
これが「失敗したリーダーシップ」です。
ところで、前述の第一段階で強制力を働かせ、強引に命令してしまい、次の第二段階で、目的や方向性を明らかにすることさえ徹底できなかった場合は、どういうことになるでしょうか。
仮に、結果として目標通りに成果が上がり、成功したリーダーシップとなっていても、集団員は強制的な指示命令に不満を抱いたり、嫌々ながらリーダーに従って、不信感を持つことにもなりかねません。
これは、成功したリーダーシップではあっても、効果的な働きかけとはいえないものです。
逆に、リーダーの働きかけが成功するだけではなく、フォロアーがリーダーの働きかけに喜んで応じ、その結果として満足を得ることができれば、それこそが健全で効果的なリーダーシップといえます。
これが3rdステップの「効果的なリーダーシップ」であり、前述の第三段階目のリーダーシップに到達したことになります。
決して成功した結果だけにとらわれることなく、この第三段階、3rdステップのリーダーシップを目指すことが健全なあり方だと思うのです。

《肩書きの問題点》

どうして人は人の影響力で動くのかを考えてみたいと思います。
①優れた状況判断力
②高度な専門能力
③人間的な魅力
④豊富な経験
⑤突出した実績
これらが単独ではなくて、いくつかが結びついて影響力が発揮されていきますが、ウェイトやバランスは異なるものです。
この他に組織の中でもっと大きな影響を与えるものがあります。
⑥肩書き…です。
これは組織内で公式に与えられた地位と権限です。
組織の中でリーダーは、その地位に期待される働きを担い、それを遂行する為に必要な権限が与えられます。
権限は、使うときには思い切って使う必要がありますが、「むやみやたらとは使ってはならないもの」で、「適切な時」に「適切な方法」で使うものなのです。
しかし現実には、この「肩書き」を安易に使って、適切な範囲を大きく逸脱して、強制力を行使してしまう場合も出てきます。
つまり、自分の思い通りにならない人を肩書きを利用して力で抑えつける、一種の「思い上り」の態度が出てしまう場合です。
肩書により命令できる筈という、傲慢な思い込みが進むと、人の話に耳を傾けなくなり、権限をタテに一方的に指示命令を下すようになります。
場合によっては、本来権限の及ばない私的な領域にまで立ち入って、コントロールしていってしまうケースもあります。
この様な上下関係では皆が100%の能力を発揮できる健全なチームワークは実現されません。
これとは逆に、リーダーが「必要以上に遠慮」することも大きな問題点となります。
「言うべきことを言えない」または「言わない」ことになると、やはりリーダーシップを取れなくなり、適切な方向へ導くことが出来なくなっていきます。
この両極端の二つの問題点は、根本的原因は同じといわれます。
どちらもリーダー側が人を動かすべきという「思い上り」です。
勘違いや思い込みをリーダーがしているのではなく、本当のところは思い上がりが原因です。
思いのままに人を動かせると、リーダーが考えてしまうと、力づくの傲慢さが出たり、逆にその力を怖くなって、必要以上に遠慮するといった様に、リーダー自身の心の弱点が出てきて悪影響が出てきてしまうのです。

《リーダーに必要な資質》

前述の通り、肩書に依存した「リーダーという人間が他の人間に命令する」方法ではなく、「理念や使命がリーダーを通じて命令させている」という立場に立てば、メンバーが行動の意味と価値を自覚することができ、個人の能力もチームのパワーも最大限に発揮できることになります。
リーダーの「思い上り」や「過度の遠慮」もなくなり、「リーダーは使命実現への代行人にすぎない」と、自然体のリーダーシップが取れるようになります。
メンバーはそんなリーダーシップを素直に受入れ易くなります。
まず、以上の立場に立つ自覚をすることが大切です。
次に、リーダーに必要な資質はどんなものか考えてみましょう。
①洞察力・観察力
将来を見通す洞察力、取り巻く環境やメンバーの性格や適性を観察して把握する力。
②情報分析力
沢山の情報の中から、本当に必要なものを見極める力。
③論理的思考力
物事を筋道立てて考える力を持ち、明快に皆に伝え説得する力。
④意思決定力・行動力
最終的に決定したことにリーダーは責任を負いますので、慎重になりがちですが、決定と行動のスピードも求められます。
⑤勇気
一度決定したことを修正したり、撤回できる勇気、メンバーを信じ切る勇気、決断して推進する勇気。
⑥高い倫理観
自らの利益よりもチーム全体、社会全体の利益に基づく倫理的価値を判断基準に行動する。
⑦人格的要素
「夢を詳細に語れる」「自ら手本を示せる」「人にチャンスを与えられる」「他の人に考えさせることができる」「人を褒めることができる」「相手の話に素直に耳を傾けることができる」「不測の事態でも慌てない」などです。

《大勢(たいせい)迎合》

少数意見に耳を傾けること、そして多数意見に流されないことが、大切な時代だと感じます。
一見、実現可能性が乏しいような少数意見に潜むメリットについてしっかり検証し、場合によっては勇気を持ってそれに踏み出すこともリーダーシップの要件ではないかと考えます。
時代の流れが急速に変化する現代社会において、「今日正しかったことが数カ月後に正しい」という保証はありません。
時代の変化によって、仮に誤りと気付いた決定事項に対しては、自ら早急に修正や撤回をする勇気も必要だと思います。
自らの権威の失墜を恐れて、決定事項が時代遅れや誤りであるにもかかわらず放置しておくことが、最悪なことだと思います。
時代の先を見れば見るほど、少数意見の中にヒントが潜んでいることが多く、そういった大多数の意見と違った個性的(場合によっては異端的)なものの中に、過去の人類の進化と発展の歴史が隠されているようです。
逆に大多数の意見に潜むデメリットに注目しないと多数意見に流されてしまいがちになります。
結果として、なんの特徴もない平均化・平準化されたものが出来上がってしまったり、将来を意識しない現在や少し過去に常識とされた旧体然のものに落ち着いてしまう可能性があります。
多数の人々の間で調整や妥協が繰り返されると、特徴の無い方向に進んでいきがちになり、リーダーシップの目的と逆の作用が出ていくので注意が必要です。
構成員のそれぞれの立場や考え方を明確にした上で、反対意見を争わせ合い、少数意見を大切にしていった上で、リーダーが勇気を持って決断して、『決定に責任を持つ態度』が大切なのではないでしょうか。

《信頼と心配》

お上の言うことに従順に従うという時代が比較的長かった日本は、封建時代のみならず、明治から太平洋戦争終了時までは、議論の中で決定を図るやり方より、長(おさ)に決定を委ねたトップダウンの指示で動くといった歴史的特徴がある様です。
戦後に米国から持ち込まれた民主主義の中には、まずは相手の個性と違いや立場を理解し、認めた上で、少数意見を尊重し、納得いくまで議論を尽くし、新しいアイデアを出し合って、全員合意で決定したり、多数決を取ったり、責任者一任というステップで決定を図るものでした。
しかし、少数意見や立場や個性の尊重、議論をし尽くすといったことを置き去りにして安易に数の論理で重要な決定をしてしまい、後で責任関係が曖昧になるという、どこか歪んだ民主主義が日本には根付いてしまったような気がします。
リーダーが責任を取って遂行するには、安易に数の論理に頼るのではなく、目的と将来を見据えて、導いていく決断が必要な場合も多いのです。
そして、それを理解、納得してもらい、フォロアーが自らその目的の為に考えながら一体となり動く様に、リーダーに対し全幅の信頼を持ってもらう様リーダーが努める必要があるのです。
「信頼」とは、積極的、肯定的に信じてあげられることであり、「心配」とは消極的、否定的に信じてしまうことだそうです。
「できないのではないか?」「付いてきてくれないのではないか」は心配を持った信じ方です。
「あなたはそんなことぐらいでは、やる気をなくしませんよね」は信頼を持った信じ方です。
先の見えない混沌とした時代であればあるほど、リーダーシップを発揮しなければ生き残れないと思います。
そして、その為には「人を見て法をとけ」の諺通り、メンバーとしっかり向き合い、良い面を沢山認めて伸ばしていくことが大切であると思います。
今こそ次世代のリーダーを養成しないといけない時期だと思いますが、いかがでしょうか。
こどもがしあわせになる教育実践家・しあわせになる学校ほーむ主宰の新留裕介氏のアメーバブログ、吉田経営教育研究所のホームページより「職場の使命」、SIP株式会社刊・「企業経営者に求められるリーダーシップについて考える」、以上を参考にしました。

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