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『手塩(てしお)にかける』 ― 一番変化する時期を前にすべきこと ―

2013年03月06日

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手塩(てしお)とは、各自の食膳に添えて準備された塩のことで、めいめいが自分の塩を手にとって好みの味付けができるよう気配りされたものです。

自分で塩加減ができるように、それぞれ塩が与えられているものです。

このことわざは、『あれこれと面倒を見て大切に育てること』の意味で使われます。

自分の塩を使って、自らの手で世話をするということでしょう。

さて、三月から四月の初めにかけては日本が一番変化する時期ともいわれています。

他の時期とは異なる特別なシーズンともいえるのではないでしょうか。

手塩にかけて育てられたお子様方が、卒業し進学します。

または、卒業&就職され、場合によっては遠方に転居されます。

新人社員を迎え入れる企業側も受け入れ体制を整え、組織替えや人事異動で多くの方が転勤して、新しい地域に移動します。

また、新年度を迎える官公庁、学校、企業も当然に新体制人事が活発になるのでしょう。

私たちのサロンプロフェッショナル業界も、新卒技術者(候補も含め)をたくさん迎えてフレッシュな時期を迎えます。

そうです、こんなに社会全体が大きく激変する時期は、日本では他にないのです。

言い換えると、この時期になにも特別なことをしないことは、地域にたくさん転居してくる新顧客を逃がすことを、黙って指をくわえて眺めていることに他なりません。

黙って眺めると申しましたが、中にはそんな地域流入転居の人々(=新規お客様の潜在候補)がいらっしゃることすら気付かずに、眺める意識さえない場合も多いのではないかと思います。

仮に、新規の地域流入転居客にご来店いただかなくても良いとおっしゃる経営者の方がおられるとしたら、自店の固定客の中にも転居流出客が一番出る時期でもあるという認識は持っておかれる必要があると思います。

つまり、よっぽど地域でのブランド確立が出来ている評判の良い著名店で、引っ越してきたばかりの人が名前をすぐに認識できるような地域一番店でもない限り、特別な手を何も打たずに新規客がご来店してくる確率は低くなり、逆に固定客が移動流出する確率も高い時期と理解しておく必要があると思うのです。これはサロン様ばかりでなく、あらゆる小売店舗に共通して言えることだと思います。

今回は、そんな年で一番大切かもしれない時期に心がけたいことや、したほうが良いと思われることなどを考察していきたいと思います。

《手を尽くす》

何かことを起こすときに使われることわざは、足よりも手の方が多いようです。

『手を付ける』『手を出す』『手を施(ほどこ)す』『手を染める』『手を下す』『手にかける』などたくさんあります。

『手を尽くす』は、できる限りのことをするという意味で使われています。

たくさんの種類のことを最大限していくことを、『八方手を尽くして』といいます。

英語では、『To do everything possible.』(可能な限りの事をする)と表現するようです。

一番新規のお客様が来店される可能性の高い時期に、皆様は可能な限りの事をしていらっしゃいますでしょうか。

一番大切な事は、お店をお客様に知っていただくことです。

どんなに素晴らしい技術やメニューを準備して、素敵な笑顔や接遇の準備をしていても、お店の存在を知らなかったり、場所は知っていても安心感を持っていただけるように知っていただいていなかったりしたならば、入っていただく確率がぐっと低くなってしまうと思うのです。

ところで、先日驚きの統計を目にしました。

業種を問わず、初訪問で店舗選びをして足を運ぶ場合の選択の方法で、消費者が重要視している選択基準についての質問に対して、『お店をインターネット検索して、ホームページで確認して選ぶ』が、55%を超えて第一位だったのです。

これは昨年の統計で、その前2年間からほぼ10%ずつ毎年増えてきているのです。

つまり、今年以降もこの傾向はネット人口が増加する中で、さらに増加し続けていくと断言していいと思うのです。

もう少し統計を詳しく見ていくと、男性よりも10%近く女性の方がネット検索で店舗選択する確率が高いのです。

これは、男性よりも女性の方が財布を握っているために、買い物の機会が圧倒的に多いので、買い物慣れしており、店舗調べに敏感なことからネット検索をして、ホームページで事前に店舗を調べるのだと思われます。

もっと驚くべき事は、女性のネット検索は若い方に偏って多いのかと思いきや、店舗の検索は20代~50代まであまり大きな差は無く、少なくなる60代でも25%近く、つまり四人に一人はお店のホームページを見て(同居者に見せられても含む?)来店しているという事実です。

もちろん、初訪問という前提ですので、決まったお店に足を運び続ける60代女性の方が圧倒的に多いので、そういった方はこの統計に加算されないものの、驚くべき数字です。

お客様は、先ずは口コミ紹介や、看板やチラシ、或いは歩いていたり車で走ったりしながら、サロンの存在を知ります。

次にその店舗名を覚えたら、そのお店が自分にフィットするのか、安心して入れるのかをホームページでチェックしているのだと思います。

ホームページでは、店内写真でお店の内部の状況をチェックして、居心地が良さそうか清潔かどうかなどの、無意識に自分の好みに適合して安心できるかなどの判断を下すのではないかと、小生は推測しています。

しかし、店舗写真以上に重要視している事があると思います。

それは、どんなスタッフがいて仲良くなれそうかどうか、または親しめそうな人、自分に合いそうな人がいるかどうかです。

経歴や入賞歴よりも、全員の親しみ易い笑顔のフォトと、人間臭い趣味やスポーツなどの嗜好のプロフィールだと思います。

お客様との接点がたくさんあった方が良いので、趣味や特技はたくさん載せた方が良いですし、出身地や出身校なども掲げておいた方が良いようです。

もうひとつ、重要な要素はスタイリスト全員の作品フォトです。

これもロング(ストレートもパーマも)、ミディアム、ショート、アップや編みこみ、エクステやカラーバリエーションなど、一人の技術者が複数の作品を載せられると効果が倍増します。

一人のモデルさんで、施術前と施術後の比較写真や、いくつかのヘアパターンでの変身写真を載せられると完璧です。

さらに、世代別にモデルさんを準備したり、OL・学生・子育て30代ママ・自由業経営者女性など、ライフスタイル別の提案写真などもホームページに載せたりしていくと喜ばれます。

できれば、メガネ女性も乗せてくださいね。

営業科目にあるのであれば、七五三、成人式、花嫁ばかりでなく、袴着付けや留袖、ネイルや参列者のヘアも欲しいですね。

来店動機の大きな部分をホームページが占めてくるとすると、ここまで考える必要があると思うのです。

明らかに時代は変化して来ているのです。

《手を拱(こまね)く》

何もしないでじっと見ていることや、どうして良いのか分からずに何もできないでいることを意味することわざです。

『腕を拱(こまね)く』、『手を束(つか)ねる』ともいいます。

こまねくもつかねるも、腕を組む事をいうそうで、腕組みして手出しをしないということから使われるようになったそうです。

英語では、『To stand by with folded arms.』(腕を組んで側で立っている)と表現されます。

ホームページが初回来店動機の意思決定に大きく関与する傾向が増すとは、ホームページ開設をまだしていないサロンにとっては、ある面ショッキングに感じられたかもしれませんが、決して心配する必要はありません。

むしろ、こういったインターネットの世界は、規模の大小や資本力の優劣によっては決まらず、親密感や特徴づけといったものがキーワードと言われており、小資本の小さな店舗も充分持ち味を発揮できると断言できます。

ネット検索に消費者が慣れていない時代は、新しい土地で美容室を捜す場合に、『○○市 美容室』などの検索ワードでお店調べをして、順番に出てくる上位の美容室からホームページを閲覧するので、良く見られるサロンが優位だと言われていました。

しかし、近年は消費者側もネット検索に慣れて、気になるサロンの店名を一発で入力してピンポイントで検索するような傾向が増して、すぐに目的サロンのホームページに行きつくようになりました。

ここで、むしろ意識すべきなのは、店名を覚え易い名前にしているか否かなのです。

たとえば、アルファベットだけの表記しかしていないサロン名や、何語か分からないサロン名、スペルが覚えられないなどのサロン名は、検索時点でお客様が、店名を思い出せず、ホームページを見てもらうまでに諦められてしまう可能性があるので注意が必要です。

車で走って通り過ぎた際でも、サロン名を覚えられる程の、インパクトがあって、長すぎず、語呂がいい名前がベストかもしれません。

ホームページには、お客様の心を動かすキャッチコピー表現で、サロンがお客様に一番訴えかけたい、お客様が喜ぶ来店動機につながる何かを打ち出します。

例えば、美容室専門のスタッフ成長促進アドバイザー&POPアドバイザーのウスイッチこと碓井勝範さんは、自身のブログの中で美容室を決める基準として、こんな例を挙げて説明されています。

「一般ユーザー同士で美容室を決める基準って何?…について書かれていた記事を見ると、個人によって様々な十人十色という内容が書かれており、僕が気になったのは、このコメント。
・『自分にあったところを見つけるまでは、慣れないお店に飛び込むのは不安ですよね。』
・『私の好みや骨格、髪のクセなどをわかってくれているので、安心してお任せできます。』

・『心の底からリラックスすることができます。』
…やはり「不」の解消ですね。
不安・不便・悩みを解消してくれる美容室というように…

結構自分に合ったサロンを色々選ぶ人は多いようですが、その度に「不安」を抱えながら選んでいることを理解すべきです。
デジタル手段でお客さまの安心を得るには、どうしますか?
ストーリーを描くと見えてくるコト、気付くコトたくさんありますね。』と碓井氏は語ります。

消費者目線でホームページにキャッチコピーを書くイメージがわきましたでしょうか。

もちろん、チラシや看板、店内の店販品POPや、メニュー訴求POPも同様に消費者の心が動く何かを書きたいものです。

《手心を加える》

手を加える、手を入れるは、ほぼ同じ意味で使われます。

悪い部分や誤っている部分を修正したり、不足している部分を補ったりする意味で使われます。

心をつけて、手心を加えるとなると、そこに思いやりや他の人を考える感情が入ってきます。

少し前までのインターネットは、相互の感情移入が無い手段と考えられていたように思います。

数年前から、ツイッターやフェイスブック、ラインといったSNS(ソーシャルネット)が爆発的に普及し、一方通行の伝達手段から、双方向の親密感交流の時代に入ったともいわれます。

店舗や企業とお客様との親密感を深めて関係性を高め、共感を生み出してお互いにファンとして付きあっていく時代に突入してきたのです。

お客様と店舗は来店して直接会う機会は年に数回ですが、SNSを通じてその間に何度も意思の通いあった交流ができて、親密感という関係性が深まります。

SNSとブログ、ホームページとの連動によって、親密感がより深くなって友人のような関係に変わっていくのです。

そして、口コミ紹介の仕方も変わってきています。

以前は、店側のご紹介キャンペーンやご紹介カードなどで構えたご紹介でしたが、今はファンになったお客様が、ネットを通じてお友達紹介をし、ご紹介を受けたお客様はネット上で既に親密感をもったファンのひとりとなって初来店してくるのです。

もちろん一朝一夕にはいかずに、数ヶ月はかかる場合もあるとは思いますが、発信の手を抜かなければ着実に親密感を感じるお客様が増えて、ご紹介いただくお客様が増えてくることは間違いありません。

考えて見ますと、少し前まではホットペッパーを代表とするクーポン誌で新顧客の動員が図られてきましたが、それもホットペッパービューティというネット経由のものに主力が変わりつつあります。

新聞折込みチラシやハンティング、ポスティングのフライヤーなどの紙媒体も、以前より効果は大きく落ちてきています。

しかし、昭和30年代後半や40年代初頭にかけては、美容室が紙媒体で大量に宣伝するのは考えられない時代だったのです。

そんな時代に先駆的経営者は、店舗価値を消費者に幅広く知ってもらうために、ハンティングやポスティングのみならず、サンドイッチマンまで使って新しい価値を伝えてきたのです。

『蒔(ま)かぬ種は生えぬ』いうことわざもありますが、手塩をかけて蒔いて見る価値はあると思いますがいかがでしょうか。