『目頭が熱くなる』 ― 今年を振り返って① ―
十二枚あったカレンダーが、気が付けばもう少しで残りあと一枚になってしまいました。
お正月に願ったことへの実現に、皆様近づいていらっしゃいますでしょうか。
今号と次号で今年を振返りながら残りの期間に役立て、次年度のヒントになることを探していきたいと思います。
タイトルの諺は涙が出る際に、目の周りや眼の奥が熱くなったように感じることから出たものです。
特に、感動で涙が出そうな時や出てしまった時にこの表現を使います。
出そうになった涙をこらえる時には、目頭を押さえるといいますが、目頭とは顔の外側の目尻に対して逆サイドの顔の中心部、つまり鼻に一番近い部分です。
涙をこらえる際に鼻の付け根の両サイドに近いところを押さえて涙を止めにかかります。
涙腺の元が鼻に近いところを走っているために、そこを押さえることは理にかなっているそうです。
涙が出ると、併せて鼻水も一緒に鼻に詰まりだす理由も涙腺が鼻の近くにあり、脳からの神経系統の指令も、目の裏側から鼻の方面に走っているとの話です。
涙は目頭方向からまぶたの中に溢れて、目頭から鼻にそって流れる筋と、もっと大量になると目尻側からもあふれ出し頬を伝わって、Teardrоpとして落ちてきます。
マンガ巨人の星で星飛雄馬と伴宙太が抱き合って泣く時のように、目の幅の涙がドバドバと流れ出るなんてことは稀なことのようです。
小生も年齢を重ねるにつれて徐々に涙腺が緩んできているようで、特に苦労している人や、頑張っている人を見たとき、思いやり溢れる心遣いなどで感動し、涙腺が緩むことが多くなってきているようです。
一説によると、老齢化で涙腺が緩むのではなくって、年齢を重ねれば重ねるほど数多くの経験を積み重ねているので、現在目の前で起こっていることを、無意識のうちに脳が過去の体験を探し出して、内容が近い過去の出来事に重ね合わせて照合しているから、感動しやすくなるのだそうです。
逆に若年層の人は、初めて遭遇する今まで経験の無い想定外の感動に対して感動の涙が出てくることが多いようです。
そんな感動体験を積み重ねていくことは、後の人生に良い影響を大きく与えていくことになるに違いありません。
良く素直な人ほど成長を重ねることができて、最終的には素直な人にはかなわないものだといわれますが、素直なことって自分の感情を素直に感じることができて、涙腺も緩い人なのかなと、年を重ねるごとに思えるようになってきました。
喉(のど)もと過ぎれば熱さ忘れるといいますが、忘れないうちに目頭が熱くなったことを振返っておきたいと思います。
《目を奪う》
思わず見とれてしまうことを、目を奪うと表現します。
目を引きつけられて目が離せなくなることです。
今年7月末から8月にかけてロンドンでオリンピックが行われました。
米国で生まれたロックンロールをビートルズ以降に各種のロック音楽に昇華させたといわれるロック王国の英国だけに、入場行進の曲がストーンズやデビット・ボウイ、エルトン・ジョン等、時代を飾ったロック名曲だったのも印象に残りました。
ビートルズメンバーのポール・マッカトニーが登場して、ヘイジュードを披露しました。
真夏なのにロンドンらしく雨が多く、気温も低く寒かったとのことで、ヘイジュード演奏の時に気温が10℃(十度)だったというジョークまで出ました。
さて、この五輪で日本選手団は、獲得総メダル数で38個と、2大会前のアテネオリンピックでつくった37個の総メダル記録を塗り替えました。
小生が今回一番感じたたことは、日本の団体競技の強さでした。
競技として初めて日本がメダル獲得したバトミントンで女子ダブルスの銀、同じく卓球での女子団体の銀の他、女子サッカーの銀、フェンシングの男子団体フルーレの銀、体操の男子団体の銀、水泳の男子メドレーリレーの銀、同じく女子メドレーリレーでの銅、女子バレーボールの銅、女子アーチェリー団体の銅など、チームスポーツ、団体、リレー、ペア競技でメダルラッシュとなりました。
日本人のチームプレイを尊重し、個人プレーに走り過ぎない国民性に、個性重視の教育で自己の強みを出せるようになった物おじしない性格を持った若者が見事に融合し、集団競技で見事に開花したのかもしれません。
逆に、お家芸ともいわれてきた柔道では、金メダルは女子の松本選手ただ一人で、女子柔道が正式競技になって男女で多くの階級ができて以降の過去最低のメダル数となってしまいました。
一方で、同じ格闘技では、ボクシング男子で東京オリンピック以来38年振りのメダルを2個獲得しました。
そのうち、村田選手は競技史上初の金メダルの快挙でした。
《目を疑う》
目を疑うとは、見間違いではないかと疑うようなとても信じられないことや思いがけないものを見て、ひどく驚く場合に使われます。
英語では、『I cannot believe my eyes.』(自分の目を信じられない)と表現されるようです。
柔道の不振には目を疑うようでしたが、冷静になって状況を眺めると、お家芸ではあるけれど、メダルをとって当たり前という観念がむしろ無理があるということも見えてくるようです。
柔道の日本の競技人口は約20万人で、ブラジルの競技人口約60万人の三分の一、フランスの競技人口約50万人の半分以下しかないようです。
町道場(クラブ)がたくさんあって市民スポーツとして根付いている他、小学校から体育の授業で男女皆が親しむ中で、優秀な選手が出てきているそうなのです。
江戸時代から発達してきた柔術の流派のひとつとして、嘉納治五郎が進化発展そして体系化させたのが講道館柔道ですが、すでにそこからさらに国際化されて、JUDOという別のスポーツになっていると認識すべきなのでしょう。
日本国内では、サッカーの競技人口約749万人、野球の同726万人に比べると、柔道の同約20万人は36分の一以下という状況なのです。
世界の競技人口の多いスポーツは、一位がバスケットボール(約4億五千万人)、二位がサッカー(約2億八千万人)で、女性人口を加えるとサッカーよりバスケットが上位になるようです。
ただし、サッカーはボールひとつあればどこでも楽しめるスポーツなので、チーム登録せず試合に出ないでボールと親しんでいる人はバスケットよりも上だともいわれています。
その他に世界で競技登録人口が多いスポーツは、クリケット、テニス、陸上、ゴルフ、ボクシング、野球などだそうです。
競技ではなくて、自ら楽しむスポーツとなると、ジョギングやウォーキング、フィットネス関連なども入ってくるのでしょう。
見て楽しむことも含めると、モータースポーツや競馬なども人気スポーツとして人口が多いようです。
さて、ここで教訓として考えるべきことは、常に変化する時代を凝視するということです。
柔道がJUDOに変化するに際して、柔道着の白青リバーシブル化、一本、技あり、効果、有効、指導、有効などのポイント制度など種々の変更が度重なり行われてきました。
同様に、バトミントンやバレーボールのラリーポイント制導入でのスピード化、バレーボールではサーブのネットインを認め、リベロの導入、ワンタッチのノーカウントやブロック時のオーバーネットの廃止がありました。
サッカーではキーパーがゴールエリア内でボール保持して何歩でも歩けるようになったり、キーパーへの足によるバックパスはスローインも含めてキーパーが手で処理をしてはいけなくなったりなど毎年のようにルールは変わっています。
水泳でも水着の規定変更や、飛び込みやターン時の潜水泳法の制限、体操では東京オリンピック時にはC難度を超えるウルトラCがもてはやされていましたが、今やE難度、F難度、G難度の争いとなっているほか、採点法も大きく変わっています。
レスリングのピリオド制や反則に対する罰則や、勝敗の決め方そのものまでルールが変わって来ました。
そんな中で国民栄誉賞受賞の吉田選手は13年間も女王の座を守り続けたのだからすごいことと思います。
何をいいたいかといいますと、刻々変化することを直視して目を背けないこと、固定観念に縛られずに、先を見て対応していくことだと思います。
《目を引く》
人の目に留まって注目されることや、人の注意をひきつけることで、人目を引くとも言います。
話題を芸能の世界に転じます。
人気の世界にですから、結果はいかに好かれてそれを業績に結び付けて尺度とするという意味では、理美容サロンのようなサービス業に近い業界なのかと思います。
今年もAKB48の人気はブレイクを続けています。
先日、元歌舞伎町の№1ホストで、現在は個人や企業を輝かせるためのセミナーやアドバイスを積極的に活動されている、斉藤恵一さんの講演を聴くチャンスに恵まれました。
彼は飛び切りのイケメンでもなければ、背も低く、言葉も巧みではない中で、認知心理学を勉強して、人一倍の気配りと、相手の喜ぶ心理を探りながら、人気の地位を寝る間を惜しんで努力して続けてきたそうです。
その中で斉藤氏は、AKBは飛びぬけて美人ぞろいではなく、飛び切り歌が上手いわけではなく、踊りもナンバーワンでない、素人からセミプロにやっとなったレベルでも一位になれたとの話をされていました。
逆にいえば、歌が飛び切り上手くても、踊りが突出していても、特別に可愛くても結果の出ない人は多いのです。
カットが飛び切り上手くても、それを知っていただくステップが必要で、来店いただいたら、それを確信していただき良かったと満足していただき、ファンになっていただくところまでいかなければ、武器にできたとはいえないのではないかと思うのです。
ところで、今年の現在までオリジナルコンフィデンスヒットランキングのシングル部門のランキング(11月現在の暫定ランク)がとっても興味深い内容になっています。
トップ20のうち、1位~4位がAKB48で182万枚~113枚と、ここまでが100万枚以上で、5位が65枚なので、以下を大きく引き離しています。
5位、6位と10位が嵐、7~9位がSKE48、11位~13位と18位がMNB48、14位が関ジャニ8のユニットのエイトレンジャーと16位が関ジャニ8で、15位と17位がKis-My-Ft2、19位がNEWS、20位がHey!Say!JUMPとなっています。
つまり、ランキングはつんく氏がプロモートしたAKB48グループ三組の女性ユニットと、ジャニーズ事務所の男性グループ五組で、20位までのランキングを独占しているのです。
音楽業界ではCDの販売が、ユーチューブでの配信や、無料ダウンロードの横行などで落ち込んでいるといわれています。
CDが売れなくても、映像込みの有料配信をコアなファンを作りながら、特別な優待制度やファンクラブの構築などでネット上のつながりを拡大して販売していく、新しいビジネスモデルを構築していったとのことです。
もうひとつ注目すべきことは、スポーツと同じ様にチームで活躍しているということで、20位までにソロシンガーが一人もいない現象になりました。
たくさんの個性が集う集団で、ファンの様々な好みをグループメンバーで吸収できる点と、先行きが見えない不安感ある現代で孤独感を感じる怖さを知った若者が楽しく集っていることを切望しているともいわれます。
理美容サロンもチーム力重視の時代で、構成メンバーの個性をさらに引き出してあげる必要があると感じます。
お客様の好みは多様ですので、多様な魅力があったほうが良いと思うのです。
楽しいお店、楽しい会社にお客様が集まるといわれますが、今回のオリコンチャートからはそれを学べると考えます。
《目を配る》
目を配るとは、注意してあちらこちらを眺めることをいいます。
前回は耳でしたので、聞くと聴くが違うと書きましたが、見るにはもっと種類があるようです。
観る、診る、看る、視る等の他に、注視する、凝視する、黙視するなど非常に数多くあります。
自然と目に入ってくるものがSeeで、見ようとしてそちらに意識的に目を向けることがLook at、注意して見るのがWatch、ジロジロ視るのがStare、観察するのがObserve、視察するのがInspectやVisit、判断する見方がJudgeで推定する見方がPresume、目的を持って探すのはSearch、診るのはConsultなど使い分けます。
コンサルタントのコンサルトで医者に見てもらう時にもこれを使うようです。
経営数字を診る見方、スタッフを育てる時に長所を見出す見方や見守る見方や見て見ぬ振りする見方、社会情勢やトレンドや市場を睨んだり、眺めたり、観察したりする見方など、様々を使い分け磨きあげる必要があると思いますがいかがでしょうか。