M-press『十年、一日(いちじつ)の如(ごと)し』 ― 創刊200号に思うこと ―
皆さまの応援をいただきながら、お蔭様で、本誌も創刊200号を迎えることができました。
ご愛読をいただき、また応援のお言葉やご意見を頂戴しひと区切りを迎えることができました。
折しも今年は、区切りとなる大記録更新のラッシュに沸いた年。
ヤクルトのバレンティン選手が長い間破られなかった王貞治氏の年間本塁打記録55本を9月中旬にして早くも追い越し、ベーブ・ルースの60本超えどころか、バリー・ボンズの持つ大リーグ記録・年間73本の記録更新の世界記録も夢ではないようなハイペースで打っています。
シーズンの試合数はアメリカの方が多いので、球場は小さいとはいえ、ボンズの記録を塗り替えたとしたら大変な偉業です。
楽天ゴールデンイーグルスの田中投手が、シーズン一敗もしないままで連勝記録を伸ばし、シーズンまたぎでの稲尾和久氏の持つ連勝記録をも更新し、すべての連勝記録を書き換えました。
また、中日ドラゴンズの岩瀬仁紀投手は、大魔神・佐々木主浩氏が日米通算で達成した、日本人最多セーブ記録381セーブを先日超えて、新記録を樹立しました。
一方、アメリカに渡ったイチロー選手は、日米通算4000本安打という記録に達し、大リーグ最多のピート・ローズの4256本も視野に入ってきました。
ダルビッシュ有投手は、野茂英雄氏の持つ三振記録を次々と塗り替えており、年間奪三振数もリーグ記録に接近しています。
横綱白鵬は大鵬の連勝記録は破ったものの、双葉山の持つ69連勝の記録には及ばずに63連勝でストップしましたが、連続4場所全勝優勝というとてつもない大記録を打ち立てました。
そして、2020年東京五輪の招致決定、リニア新幹線の品川、名古屋間の着工と中間駅の決定と、夢ある話題も相次ぎました。
そんな時期に創刊200号を迎えられるのは、嬉しいことです。
タイトルのことわざは、二通りの意味で使われます。
① 長い年月、ずっと同じような
状態で過ごして進歩のない様子。
② 長期に渡って同じ仕事をコ
ツコツと根気良く続けている事。
十年もの期間が、実際には日が変わっているのに、まるで同じ日ででもあるかのように変わっていないということの表現です。
できることなら、②のほうの評価をいただきたいものです。
《継続は力なり》
これはことわざではなく、住岡夜晃(すみおかやきょう)という宗教家(浄土真宗の一派)の「讃嘆の詩〈上巻〉・若人よ一道にあれ」の一節が起源だそうです。
住岡夜晃は、明治28年広島生まれの人だそうです。
…青年よ強くなれ、牛のごとく、象のごとく、強くなれ
真に強いとは、一道を生きぬくことである
性格の弱さ悲しむなかれ
性格の強さ必ずしも誇るに足らず
念願は人格を決定す 、『継続は力なり』
真の強さは正しい念願を貫くにある
怒って腕力をふるうがごときは弱者の至れるものである
悪友の誘惑によって堕落するがごときは弱者の標本である
青年よ強くなれ 大きくなれ…
この文中の『継続は力なり』の部分だけが受験雑誌・蛍雪時代で有名になり使われ出しました。
ですから、『継続は力なり』の本来の意味は、「一道において念願を死ぬまで継続すれば、人間形成にもよい影響を与え、性格の弱さ・強さに関係なく、青年は真に正しく強い人間になれる」といった、かなり精神的な修行を意味するもので、「努力を続ければ、目標が叶う」といった即物的な意味では無いようです。
このM-pressは、毎月一回発行で、年12回なので足掛け17年で200号となります。
しかし、実は当初は隔月発行でスタートしており、現在から遡ること21年前の1992年(平成4年)に創刊しています。
当時、先々代の弊社社長が自社の企業時の想いの具現化として、発刊したものなのでした。
弊社の社名のマックスは、最大限の意味のマキシマムの略=MAXではなくて、マネジメント・コンサルティング・サービス=略してMCSを短縮読みしたのが、社名の由来なのです。
ですから、弊社は顧客美容室様の経営品質を向上させるお手伝いをしていく使命を持っており、そのための新しい経営情報や社会情勢の変化、人材育成などを伝えていく目的でM-pressは創刊されたのです。
筆者も71号から主筆を務めさせていただいておりますので、本号で130回目(およそ11年)の節目となりますが、この創刊時の目的を意識し、弊社の創業理念に基づくサロン様の経営品質向上のお手伝いや気づきとなれる内容をお伝えできるように、サロン経営者の皆さまからお話を伺いながら、情報発信内容を吟味してまいりました。
執筆開始時は、経営陣に加わって間もない時期でありましたので、現在よりも稚拙な内容や文章だったと思われますし、お役立ちできる領域も限られており、一部の分野に限られた記事が多かったように思います。
お読みいただく皆さまがたからのご意見を拝聴して、望まれる分野のことを勉強し、教えてもらうことを繰り返しながら、徐々に筆者である私自身の守備範囲も広げていくことができたことに、お読みいただいた皆様には感謝致しております。
『継続は力なり』という意味では、十年以上書き続けることによって、私自身も経営者としての勉強や、視野の拡大、モノの見方の変化など、貴重な体験をさせていただくことができていると思います。
簡単に見切りをつけることなく、しぶとく続けていくことの重要性はこういうことなのかと、手前味噌ながら、実体験で学ばせていただいております。
コツコツと続けることの効用は、実はたとえば10年スパンぐらいといった少々長い年月で違いがやっと理解できるといった種のものではないかと思います。
即効性や柔軟性に目が行きがちですが、継続も大切と思います。
《十年ひと昔》
十年も経過すると、世の中もずいぶん変わって、十年前はもう昔になってしまうという意味で使われる諺です。
初志貫徹、すなわち『初めに思い立った願望や志をくじけずに最後まで貫き通すこと』が大切で、しつこくやり続けることが大切な一方で、新しい変化に敏感になって、それらをいち早く取り入れて、自己変革や進化をしていかなければ企業は生き残っていけない宿命も持ちます。
要は、本質を見極めてこだわるか、手放して新しいものに置き換えるか判断する、バランスと柔軟性の問題だと思うのです。
十年ひと昔ですが、二十年はふた昔とも呼ぶようです。
本誌の創刊号の出た21年前は、原稿を印刷会社に渡して印刷をしてご送付をさせていただいておりました。
翌年からは、ワードプロセッサーで数年間に渡って本誌をつくり、今から15年前の1998年になって、弊社もウィンドウズ95のPCを導入してパソコンによる発行を始めます。
当時は中小企業でも汎用型オフィスコンピューター主流の時代でしたので、パーソナルコンピューターのネットワークを社内で組み、パソコンで基幹業務用のソフトを使っていく世の中になるとイメージできる人は少なかったのではないかと思います。
もちろん、21年前はファクシミリが、大衆が利用できる唯一の画像通信手段で、インターネット時代の到来も筆者には意識できていませんでした。
大型で重い上に高価なために、一般大衆では手が届かなかった携帯電話も、21年前にNTTドコモが別会社として独立し、小型のmova(ムーバ)を発売したことで、企業での使用と大衆化が進んでいきます。
当然、携帯でのインターネットもまだ先の話です。
この年の日本の携帯電話と自動車電話の加入数は、約170万台となっており、総人口に対する普及率は僅か1.4%でした。
一昨年末集計の総務庁統計によると、日本の携帯電話加入数は、約1億2986万人と総人口を初めて上回り、普及率は101.4%に達しています。
一人で複数台持つ人や、企業から渡される携帯と自己所有と二つ持つ方が増えている状況です。
十五年前の1999年からは、携帯電話によるインターネットが世界に先駆けて日本で実用化され、さらにこれも世界で初めてデジタルカメラ付き携帯が翌年発売されることによって、画像を添付したメール送信が誰でも簡単にできるようになります。
ファクシミリで驚いていた筆者世代には、驚愕の出来事でした。
十年前の2004年には、早くも3Dスマートフォンが発売され、世界初の第三世代型携帯電話(W-CDMA方式)の通信網が整備されて、PCに近い高速データ通信が可能になりました。
5年前の2008年に日本に初お目見えしたアップルのiPhone 3Gは、翌年に3GSとなってカメラ&ビデオカメラ付きとなってバージョンアップ発売され、優れたアプリケーションソフト(具体的な作業をするためのソフトウェアのこと)を豊富に使用できることによって、後継機の4、4S、5と、日本でも大ヒットし、今号が配布される頃には、5S、5Cの二機種が発売されます。
極めて美しい画像や動画を、携帯端末から送る手段を民衆は手に入れたのです。
筆者は49年前の東京五輪の衛星生中継で仰天しましたが、今や自らが世界の津々浦々まで簡単に動画を送ることが可能な世になったのです。
《心機一転》
心機とは心の動きのことで、一転とは一気に変わることです。
ですから、あることをきっかけにして、気持がすっかり変化することをいいます。
また、自らを意識的に、そのようにさせることもいいます。
どちらかといえば、良い方向、明るい気持ち、積極的な気分に変化させる時に使います。
前述したイチロー選手はじめ、大記録を成し遂げた皆さんは、記録更新は単なる通過点という言葉をよく使われます。
記録更新を目標にすると、達成することすらもおぼつかなくなるので、彼らはもっと上の目標設定をしていると思うのです。
こんな劇的な変化に負けないように新鮮な情報をお送りできるように心機一転努力しながら、創刊時の想いも受け継ぎ初志貫徹してまいりますので、今後もご愛読の程お願い申し上げます。
ビューティ-クリエータ-のための情報誌 No.200 マックス企画室