美容総合商社の株式会社マックスです

〒545-0052  大阪市阿倍野区阿倍野筋4丁目18-6

M-press『出る船のともづな(纜)を引く』 ― 職業観と職業意識について考える ―

2014年08月01日

戻る

ともづなとは船を岸につなぎ留める船尾の綱です。

出航しようとする船を、岸からそのともづなのロープを引っ張って引き止めるという意味から、『あきらめ切れなくて、未練がましく振る舞うこと』のたとえとして使われることわざです。

日本では、若年人口が大きく減少してきております。

そして、理美容の業界は2年の専門学校教育を受けた上の資格免許の試験制度もあり、景気回復傾向によっての全業種の全般的求人数増加によって、ますます若い人々の獲得が難しくなってきている傾向があります。

理美容室経営者の皆様と面談をしますと、ほぼ毎回、自店の人員不足や、採用や退職などの人事問題についてのご相談を受けるといっても過言ではないでしょう。

中には、経営者様から、『退職を引き止めるためにどうしたらよいか、力(知恵?)を貸して欲しい』などのご相談を持ちかけられることまであります。

そうです、『出る船のともづなを引く』行為です。

今回は、仕事についての若者の観かたや受け止め方について、そして自分に自信を持ってもらう方法について考えてみたいと思います。

《中(あた)らずと

  いえども遠からず》

ぴったりと的中しているとは言えないまでも、だいたい予想通りで、ほぼ的中しているということの意味で使われることわざです。

中国の古典に載っている故事からでてきたものとの事。

先日、インターネット上で、フェイスブックを通じて目にした記事、そしてそこから拝見した企業のブログで、当世の若者の職業意識や気質を端的に表わすお話しを目にして、なるほどってうなずいてしまいました。

株式会社ヨドバシカメラの人事ブログ『新人社員が退職した』(前編4/15・後編4/17)です。

同社人事部採用チームの山下敬史氏の執筆ブログです。

このブログのインパクトは強烈で、口コミで広がりブログヒット数が増え、それを見た人々が、フェイスブックやツイッターなどで、情報伝達をしていったことから、このブログが有名になり、さらにたくさんの人が見るようになりました。

インターネット情報時代ならではの拡散だった様です。

ご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんが、理美容室経営者の皆様に参考になると思われますので、以下、そのまま全文掲載させていただきます。

…以降、転用部分

新入社員が退職した。
入社してわずか10日。

「この会社は自分に合わないと感じた」というのが退職理由。

あまりにも漠然とした理由なので、具体的になにがどう合わないと感じたのか尋ねてみた。

すると。

「販売はアルバイトの延長のような仕事。ずっと続けていく気にならないし、自分に向かない」とのことだった。

当社では、2週間の新入社員研修期間中に売場での販売実習を数日行なう。

講義とロールプレイングで学んだ接客応対技術を、実際に売場で体験するのが目的だ。

その実習の結果、新入社員のKさんは「自分に合わない」と思ったそうだ。

辞めてどうするのか、Kさんに聞いてみた。
「公務員を目指します。」

まただ。採用や研修を担当していると、毎年必ずこういう若者と遭遇する。
「安定していて、楽そうだから」という、かつての私と同じ発想。

いや、決めつけるのはよくない。公務員(地方上級とのことだった)を目指す、彼なりの確固たる理由があるのかもしれない。

「公務員になりたいのは、なぜ?」
「地域の人たちに貢献したいからです。」
「地域の人に貢献というと、具体的にはどういうことをしたいの?」
「・・・市役所の窓口で、住民の相談に乗ったりとか・・・」
「ヨドバシカメラの店でお客様の相談に乗るのはアルバイトの延長にすぎないと思うのに、市役所で住民の相談に乗るのはやりがいがあると思うんだね。それはどうして?」
「・・・いや、その・・・民間とは違う、というか・・・」
ああ、やっぱり。「安定」「楽そう」公務員志望シンドロームだ。
その発想が悪いとは言わない。
しかし、それだけでは信念を持って公務員を目指している人たちとの選考で勝ち残るのは難しい。
また、仮に公務員になれたとしても、決して幸せにはなれない。
残念ながら、Kさんに当社での仕事を続ける気はないようだったので、慰留は諦めた。
しかし、わずか10日とはいえ同じ会社で勤めた仲間である。不幸にはなってほしくない。
Kさんには迷惑だったかもしれないが、私なりの「働いて幸せ」という状態を実現するための考え方を伝えることにした。
「Kさん。君はゲームが好きだったね。」
「え?あ、まぁ、好きですね。」
「対戦ゲームは好きかい?ガンダムエクストリームバーサスとかさ。」
「好きですよ。けっこうやってます。」
「そうか。アレはおもしろいよな。僕も好きでね。いい年してゲーマーなんて恥ずかしいけど。」
なんの話なのかといぶかしげなKさんだったが、私はかまわずゲームの話を続けた。
対戦ゲームのおもしろさについてお互いにしばらく語り合ったあと、本題に入った。

「ところでKさん、ガンダムEXVSを初めてプレイする人が、対戦プレイで君に勝てるかな?」
「いやぁ、それはムリでしょう。僕、けっこう強いですよ。」
「そうか。じゃあ、初心者だとあっという間に君に負かされてしまうだろうね。」
「そうでしょうね。」
「じゃあ、質問。手も足も出せずにキミに負けた初心者くんが『ガンダムエクストリームバーサスなんてつまらない!クソゲーだ!』と言ったとしたら、Kさんはどう思う?」
「それはおかしいでしょ。ゲームがつまらないんじゃなくて、自分がヘタなだけじゃないですか。」
「そうだよな。楽しさを理解するには練習と経験が必要だよな。ちょっとやってみただけで『つまらない』とか『自分には向いていない』っていうのは、早すぎるよな。」
Kさんの表情が変わってきた。
伝わっただろうか?楽しく、幸せになるには努力や我慢も必要なのだということが。
実感できただろうか?物事の本質を理解するには、長い時間が必要なのだということが。

気のせいかもしれないが、Kさんの雰囲気が変わった気がした。
オドオドしたところが消え、目から意志が感じられるようになった。

「Kさん。社会人の時間は長い。22歳で入社して、定年は60歳。約40年もの年月だ。
つまり社会人にとって入社後の10年は、大学で言えば1年生に相当する。
たとえば大学の野球部に入部したとして、1年生のうちは球拾いやグラウンド整備、筋トレなど地味なことばかりだろう。
楽しいどころか、むしろツラいだろうね。でも、彼らは野球部を辞めない。なぜだろう?」

「・・・野球が好きだから、ですか?」

「そうだろうね。野球が好きで、うまくなりたい!という情熱がある部員は、そのつらさの向こうに自分の成長があることをイメージする。
だから乗り越えられる。逆に、なんとなく野球部に入った人はとても耐えられない。
『野球つまんね。サッカー部に行こ。』と思ってしまう。」

「・・・」

「そうやってサッカー部に移った一年生を待っているのは、やっぱり筋トレや100メートルダッシュなどの地味な練習だ。
サッカーに対する情熱がない人は『サッカーもつまんね』と思って転部する。
その後は似たり寄ったりだ。
テニス部では素振りに嫌気がさし、バスケ部ではハードさに耐えかね、吹奏楽部では音を出すのに一苦労、マンガ研究会に入ってもいきなり絵が描けるようになるわけじゃないし、演劇部では発声練習ばかり・・・すべて同じだ。
最初からいきなり上手にできたり、楽しいなんてことは滅多にない。
本当の楽しさにたどり着くには、努力と情熱が必要だ。
短期間で転職を繰り返す人は、これと同じ。楽しさにたどり着く前に職を変えてしまうから、幸せになれない。」

「・・・僕が、そうなると?」

「それはわからない。ただ、公務員を目指す理由がさっきの答えのレベルだとすると、幸せにたどり着く可能性は低いぞ。大切な人生だ。自分がどんな職につくべきかを、もっと真剣に考えたほうがいいと思うよ。」

「・・・わかりました。ありがとうございます。」
Kさんが、どんな気持ちで私の話を聞いたのかはわからない。
「こいつウゼぇ。」と思っていたかもしれない。
しかし、相談を終え退職届を提出して去っていく時の彼は、それまでと違って後ろ向きな逃避ではない、前を向いて一歩踏み出そうとする者の顔をしていた。
————————
就職活動サイトに掲載するエピソードとしては、シビアすぎる内容だと思います。
当社を志望する人が減ってしまうかもしれません。
それでも、就職活動中の学生の皆さんに伝えるべき内容だと考えました。
皆さんにとって「職に就く」ということを考える上での参考になれば、幸いです。

 … 以上が、転用部分です。

長文をそのまま転用してまでご覧いただいたのは、理美容師としての喜びを見出す前に業界を去る若者が、残念ながら非常に多いと感じているからなのです。

《出る杭は打たれる》

新人スタッフの多くは、『イキイキと働きたい」『自分の能力を最大限に発揮したい』『周囲の人のお役に立ちたい』という思いを例外なく持ち、仕事に向かっているのではないかと思います。
『周囲(上司・同僚)から認められている』と実感できれば、人は能力を発揮し、果敢に挑戦し、成長できるのではないでしょうか。
成長過程の企業は、『職場や仕事が楽しい』という実感を持つ社員が多数を占めているともいわれます。
逆に言うと、『認められていない』『お役立ちできている実感がない』『能力を発揮したいのに周囲の人と比べて劣っているという劣等感を感じている』などが、退職動機につながっているのではないかと思います。

実は、所属企業が嫌いであるとか、業種が嫌い(向いていない)であるとか、仕事の内容が嫌いであるとか、嫌な上司や同僚に馴染めなかったり嫌いな人がいたり…などが退職理由の上位として挙げられております。

しかし、深層心理では、実はそうではない退職動機なのだとも言われています。

仕事や職種、職場や仲間が嫌いではなくて、本当はそういった感覚を覚える自分自身が嫌で、退職願望が沸いていることが多いとの話。

そんな嫌な時間を過ごす場所や、時間に嫌悪感を覚えたり、役に立ててない自分や認められていない自分に絶望感や無価値観を感じていたりというのが真実です。

つまり、仕事や職場ではなく、嫌な思いをしている自分自身を辞めたい心理なのですが、自分自身ではそれを認識できずに、仕事を辞めて打開しようとしているケースがほとんどではないかという推察なのです。

お役立ち実感を持てる役回りを与える、自信を芽生えさせる小さな変化を認めてあげて本人に実感させるなど、細かい注目を先輩や上司がしてあげるだけで、可能性を拡げてあげることができるかもしれません。

先ほどのブログの例ではないですが、初心者が同じ土俵で何年もの先輩と勝負をしても勝ち目がありません。

同様に、他の人の優れた面と、自分の欠点とを見比べてしまい、勝ち目のない勝負で自己価値を低く見てしまい劣等感を覚えてしまいがちなのが人間のようです。

本当に比較をしないと行けないのは、自分の足りない所ではなく、自分の恵まれている部分なのに、人はついつい足りてない部分を見て、自分が恵まれている部分には目を向けないのです。
人と比較して落ち込むとき、人は無意識に自分の中に眠る将来の才能の種に近い人と比較して、まだその現状になっていない自分を見て自信をなくしてしまいます。
人は、自分がなれもしない人をみて比較し落胆はせず、自分が将来なれそうな憧れの人をみて比較して、現在そうではない自分と比較して落胆していくものです。
田中マー君を見て自信喪失するのは、野球が好きで多少でも才能がある人だけで、

野球の素質が無い人は、マー君を見ても自分と比較もしないから落ち込みません。

『出る杭は打たれる』ということわざは、英語の慣用句では『Tall trees catch much wind.』(=高い木は、風をより多く受ける)と表現するようです。

突出した個性には、風当たりは強いものですが、『出過ぎた杭は打たない』『出た杭は引き上げる』くらいに個性を伸ばす方向で、持ち味を見てあげたいものです。

dutch_tall_trees_catch_much_wind_coffee_mugs-r414e4f404494012f7dce00ffb0cb9003_x7j1p_8byvr_512

ビューティ-クリエータ-のための情報誌   No.210 マックス企画室

ツールバーへスキップ