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『水魚(すいぎょ)の交わり』 ― お客様に賢くなっていただく大切さ ―

2009年07月20日

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中国の「三国志」から出た諺で、魚と水の関係の様に、極めて親密な交際のたとえで使われます。
蜀の国の皇帝劉備が、名将諸葛孔明と親しむのを見て、臣下の張飛や関羽がねたんだ時、劉備が「私に孔明が必要なのは、ちょうど魚が水を必要とするのと同じ様なものだ」と言ったという故事から生まれた諺です。
他にも中国の故事からは「管鮑(かんぽう)の交わり」という同じ意味の諺もあり、春秋時代、斉の国の「管仲」と「鮑叔」の親友美談からできたそうです。
また、史記からは「刎頸(ふんけい)の交わり」という諺がでており、相手のために頸(くび)を刎(は)ねられても悔いが無いほどの信頼関係を言うようです。
英語にしてしまうと、「Like a fish to water」(水に対する魚のごとく)という味気無いものになってしまいます。
今回は、長い間お客様と親密な関係を続けるためにどうすれば良いのかを考えてみたいと思います。

《情報格差》

解散、総選挙が叫ばれながら、一年近く経過してきましたが、この8月の衆議院議員総選挙がやっと現実味を帯びてきたようです。
以前の選挙であれば、地縁・血縁・地盤・後援会組織・世襲・企業ぐるみ・組合上げて・・・などの言葉が踊って報道されていました。
現在はこの全てがマイナス要素として否定されて、選挙で戦うには邪魔な存在になっているかの様相です。
現在の政治に対する不満や、高級官僚やお役所への不信感が、過去の慣習を全て否定し、リセットし直そうとしている風にも見えます。
以前は、実力者と言われる政治家は選挙の際に、「橋や道路をつくる」「新幹線を通す」等々、大風呂敷を広げた公約を語り、中央の政府との太いパイプを強調しながら、地元への利益誘導を中心に戦ってきました。
ところが、東国原・橋下両知事や中田横浜市長を中心とした首長が、地方分権を叫び、中央からの分配政治の無駄や弊害を訴え始めており、建築・土木に頼った安易な「ハコモノ行政」は赤字を垂れ流して将来にツケを残す場合もあり、地域利益誘導型の公約は通用しなくなってきている様です。
さて、昭和20年代後半はテレビ発祥の時代でした。
昭和28年2月にNHKが東京でテレビジョン放送開始、同年8月に民放・日本テレビが放送開始しました。
昭和29年に大阪と名古屋のNHK、翌30年に民放2局目のTBSが開局、昭和31年になると名古屋と大阪でも民放が1局ずつスタートしました。
昭和40年以前は、全国にNHKの放送網は広がっていましたが、民放局が多数あるのは大都市圏のみで、その他の地方は放送局選択が限られており、情報量は少なかったと思います。
昭和43年からUHF局が続々と開局されて地方の放送局が激増、大都市の民放キー局とネットワーク化されることにより、NHK以外のニュースの報道速報性と、多様性が高まりました。
NHK(日本放送協会)は受信料と国からの予算(税金)で運営されており、報道の中立性など放送倫理の規定が多く、意見を交えた報道には制限が有ります。
民放各ネットワークは新聞社の系列が多く、それぞれの新聞論調が異なるようにTVニュースも取り上げ方に大きな差が出ます。
読売テレビ&日本テレビ(読売新聞)、毎日放送&TBS(毎日新聞)、朝日放送&テレビ朝日(朝日新聞)、関西テレビ&フジテレビ(産経新聞)等を中心に地方局にネットワークされていきました。(NNN、JNN、ANN、FNNなどのニュースネットワーク)
一般の家庭では定期購読新聞は一誌だけの場合が多いので、ニュース論調はその一誌の新聞からと、中立な立場とされるNHKのニュース番組、そしてその地域にある民放局がどの新聞社のネットワークにあるかによっての報道論調しか入らない傾向にありました。
つまり、以前は大都市圏と地方とは、絶対的情報量の格差があったと思います。
平成元年に衛星(BS)放送が、平成5年にはCS(通信衛星)放送も開始され、多チャンネル化が進みます。
一方で全国津々浦々までケーブルテレビ局が整備され、その地方に無い系列ネットワークの番組も、ケーブルTVを通じて見ることができるようになっていきます。
更に、インターネットの急発達で、全国のニュースばかりか、世界中のニュースがどこに住んでいようと瞬時に入るようになりました。
今や大都市圏と地方との情報格差は無くなりました。
北海道夕張市の財政破綻が、遠い地方の話だと決して傍観できない、どこにでも起きうる身近な話として捉えられたり、年金の紛失や未払いの全国の情報が駆け巡ったりしたのも、この様な情報伝達格差が無くなった現れの様な気がします。
地方への情報格差が無くなってきたことで、地域利益誘導型選挙も成り立たなくなったのかも知れません。

《マニフェスト》

選挙の際、各政党がマニフェストと呼ばれる政策公約書を出すようになりました。
マニフェスト(manifesto)は、宣言・声明書の意味で、方針や意図を多数の人に向けて鮮明に知らせることや、その為の演説や文書のことを言います。
語源はラテン語で「手」(manus)と、「打つ」(fendere)を合わせたとする説が有力です。
「手で打つ」→「手で感じられるほど明らか」→「はっきり示す」と変化していったと考えられています。
政治用語としては、英国で19世紀から使われ、実際にその当時から各政党が常時公約集を販売しており、選挙前には選挙公約集を有権者に配布して選挙に挑む形が定着していたとのこと。
従来の選挙公約と異なる点は、何をいつまでにどれくらいやるかという、具体的施策・実施期限・数値目標を明確に示して、事後の検証に責任を持つのがマニフェストで、言いっ放しができない仕組みとも言えます。
日本では2003年に当時三重県知事の北川正恭氏が「ローカル・マニフェスト」(地方自治体のマニフェスト)の導入を提唱し、これを実行した松沢成文氏が神奈川県知事に当選し、同年の衆院選で民主党がマニフェスト作成を宣言した事で、他党もそれに追随して実行されるようになりました。
前述したような、インターネットやTVネットワーク多チャンネル化が高度に発達したため、有権者への情報量が格段に増えて、秘密主義が通用しなくなります。
賢くなった有権者は正確な情報を求め、ますます情報開示を要求してきました。
判断するための知識を与える必要があるのです。

《2種類の営業》

営業スタイルは店頭の他、訪販、通販など様々な手法がありますが、どんな手法でも、根幹に流れる発想は2種類に大別されます。
ひとつは、「お客様を愚かにして行く」考え方で、もうひとつは「お客様を賢くして行く」考え方の2種です。
前者は「何でもかんでもお客様の手間を省いてこちらで全部やりますよ」という、丸抱えスタイルの発想であり、後者は「きちんと説明して、お客様にも勉強してもらうことを要求していく」という発想の違いです。
一見、前者の営業スタイルが良いと、多くの企業でされていて、「お客様の不便をできるだけ解消して、こちらで全部・・・」という考え方で進めようとします。
しかし、この方法は一時的には良くなっても必ず将来は苦戦することになります。
丸抱えスタイルの営業だと、そこのリピーターとして継続するお客様達は、徐々に他と付き合うのが面倒になって、その会社(店舗)としか付き合わなくなる場合が多くあります。
考えなくても済むし、他と比較検討する必要が無いので、お客様側は非常に楽な気持で継続できる、それが企業側の狙いなのですが、これを続けるとお客様側はますます考えることを忘れてしまう傾向があります。
そうすると、結果的に丸抱えスタイルを推進してきた企業側も社員レベルが下がり、自社も成長しなくなる。
気付いた時には、世間から遅れたお客様ばかりが残って、自社も提案営業や経営相談ができない社員が多くなって、利益が出なくなる・・・これを称して「お客様を愚かにしていく営業」と呼ぶのだそうです。
逆に賢い会社は、自社も勉強して、お客様にも勉強していただき、一緒に成長していくことを望むものです。
だから、自然と勝ち組が集まるようになって、営業もコンサルティング的になり、業界リーダーの一角を占めるようになってきます。
これを「お客様を賢くしていく営業」と呼ぶそうです。
この2つの営業スタイルの考え方は、製造業でも商社でも店舗(サロン)にも当てはまる考え方です。
余りにメーカー機能に頼りすぎると、代理店の企業力が低下し、メーカー依存が強すぎるサロンも、考察力が弱まって本当のスタッフ力が磨かれなくなります。
また、お客様に快適さを味わっていただきたい余りに、至れり尽くせりのサービスをするまでは良いのですが、声を掛けないほうがリラックスできるとの考えから、施術ステップや使用薬液、使用目的や髪の状況など、必要最少限の情報すらお伝えしない場合も出てきます。
これも、「お客様を賢くしていく営業」に逆行することになってしまいます。
お客様も毛髪&薬液知識等をある程度持っている時代となっており、選挙のマニフェスト同様に、サロンから必要最低限の情報を公開して、納得(=満足)していただく必要もあるのです。

《知的好奇心》

小学校でも公園でも、子供達の遊び方を見ていると面白いことに気付きます。
子供が後から遊びに加わる場合に、どの遊びを選ぶか。
それはパッと全体を見渡して、皆が一番楽しそうに遊んでいるグループを見つけて、そこに加わっていく確率が高いのです。
鉄棒が好きだから、ブランコが好きだからという理由だけでなないのです。
これは人間としての根源的な性質だそうで、群れによる集団生活から発展してきた動物の特性だそうです。
サロンの中で、スタッフがものすごく楽しそうに、生き生きと仕事をしていると、お客様も吸い込まれるように入り、一緒に楽しさをいつの間にか共有しているというのもこれなのです。
まず動物は生存欲求から始めに行動すると言われます。
アブラハム・マズローの欲求段階説です。
第一段階の生存の為に必要な生理的欲求(食欲、睡眠など)が満たされると、第二段階の安全の欲求(病気や事故に巻き込まれず、生活を安定維持させたい)に進み、それが満たされると第三段階というのものです。
第三段階は社会的欲求です。
愛と帰属の欲求とも呼ばれ、集団に所属し、仲間からの愛情を求める欲求です。
皆と何をして遊ぶか考えている子供達は、この欲求を満たす為に行動しているとも見られます。
しかし、子供たちは単なる社会的欲求だけで、このような行動をとるかというと、これも違うらしいのです。
そこには好奇心というものも存在します。
人間以外の動物も原始的欲求によって生存し、集団欲や好奇心までは持つものが多いと言われます。
ただ、人間が他の動物と異なるのは、同じ好奇心でも知的好奇心を持つことだと、唱える人達がいます。
「人間とは本来活動的であり、自分の能力を発揮するために進んで働きたがり、好奇心に駆られて自ら知的探索を行うために学習する生物」で、「知的好奇心とは、今まで知らなかったものに出会ったとき、興味をもって理解しようと感じる心の動きである」との主張です。
(中公新書「知的好奇心」波多野誼余夫/稲垣佳世子/共著より)
人間以外の動物に心が存在しないと言い切って良いかはわかりませんが、興味を持って理解をしようと心が動き、意識的に行動していく知的好奇心を持つのは人間だけに違いありません。
だからこそ、人は知る事に執着心を持ち、知る権利としての情報を閉ざされることに対しては、嫌悪感まで感じる人も最近は多いのではないかと思います。

《FUNはFAN》

サロン現場の話に戻ります。
きちっと情報伝達ができてこそ、信頼される時代ですが、皆様のサロンではそこができていますでしょうか。
サロン現場でのマニフェストとは何でしょうか。
まず、お店のコンセプトや経営理念が明確になっていて、それが全スタッフの魂にしっかり根付いて行動や言動に現れており、お客様にもそれが届いているサロンになっていること。
これができていると、結果的にお店の一番の魅力点(売り)をお客様に伝え切って、理解してもらっていることになると思います。
これがまず、お店の一番重要なマニフェストです。
次に、お客様と個別に相談、約束するマニフェストです。
施術前にお客様のライフスタイルや服装や色の好み、髪の悩み等を伺って、技術者が対応策を考えて、はっきりする事と思います。
そして、その対応策とデザイン提案をお客様にぶつけながら、ひとつひとつ疑問点や不安に対応し、最良のデザインと施術方法を確認、合意していきます。
方向性が固まったら、仕上がりの約束と髪質に応じた薬液の説明をします。
これがお客様に対する技術者のマニフェストです。
より具体的に、どういうステップで進めるかという過程と、仕上がりの結果を明確にして約束することです。
業務用薬液についても詳しく説明が必要なのは、お客様がプロが使う薬液に全幅の信頼を寄せてはおらず、何を使われているのかといつも不安を持っていると考える必要があるからです。
最後に、サービス業としてのマニフェストも考えておくと良いと思います。
長時間滞在するサロンですから、俗世間とは違う非日常的空間や安らぎを求めているお客様も多いでしょう。
明るさや楽しさが大好きという人や、スタッフから元気をもらえるというお客様もいらっしゃると思います。
要するにサービス業として楽しい時間を過ごしていただく、またはスタッフとそれを共有していただくことが、サービス業の大切なマニフェストだと思うのです。
子供が楽しそうなものに吸い寄せられるのと同じ理由でファンが増加します。
FUN(楽しいこと)=FAN(ひいき)なのです。
常連のお客様になる程、サロン側が安心してしまい、施術前のご相談やお約束を省いてしまいがちです。
技術者に全幅の信頼を置いて、ヘアスタイルを全てその技術者にお任せしていると断言されたお客様以外は、サロンとしてと、技術者としての両方のマニフェストを徹底すべきと考えます。
お客様を愚かにする営業ではなく、お客様に賢くなっていただく営業方針こそが末永くお客様とお付き合いできる秘訣と思いますが、いかがでしょうか。
㈱ワイキューブのメルマガよりスターブランド㈱・共同経営者・村尾隆介氏のコメント、日本経営合理化協会メルマガより出版局・五藤氏のコメントを参考にしました。

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