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異業種から学ぶ、パートナーシャフト経営(好循環化)とは?

2000年06月20日

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私共の業界でもスタッフの評価は、「やる気、する気、させる気」と言った面で、各サロンごとに基準値を決めて、成果配分をされている事と存じます。
しかし、既得権化してしまった成果配分は、最初は意欲向上の為に、大いに効果を上げた事でしょうが、年数を重ねるにしたがって効果が薄れはじめます。
「社員たちの中にも”もらって当然”と言う意識が芽生えてしまうからです」
では、他にもっと良い方法がないかと考えたとき、企業風土作りに必要なものとして、ドイツ・ミュンヘン大学のフィッシャー教授が提唱したものが有ります。
フィッシャー教授は「部分が部分として存在している限り、存在価値はない。全体の一環となって、初めて価値が出てくる」と言う考え方を発表されました。
まさしく、パートナーシャフトサイクル(好循環化経営)的思考と言えましょう。
ここで、首都園に住む人にとっては三ツ和と言う会社名よりも、オフィス街などにある、立ち喰いそばチェーン店「小諸そば」を展開する会社と言ったほうがわかりやすいかも知れません。
三ツ和(立ち喰いそば、給食弁当、出張料理サービスの流れを引き継ぐ食品卸の事業展開)の例を参考に成功実例を考えてみましょう。

一、月次配分と年次配分の二段構えの成果配分制度。

利益配分は月次成果配分と年次成果配分の二つに大きく分けられる。
月次成果配分は、事業部事に行われる、売上、原材料費、営業利益の三つの予算が達成された場合に、売上の0.3~0.5%を利益還元すると言うものである。
このうち原材料費は予算をオーバーしても、極端に低くなってもいけない。
それだけお客様の満足を損なった怖れがあると判断されるからだ。
配分は予算の最小単位である拠点ごとにされる。
配分された利益は基本的にはしばらくプールしておいて、忘年会等の費用にするなど、福利厚生に使われると言う。
一方の年次成果配分は年間予算が達成された場合に支給されるもので、グループ達成給と事業部達成給の二つが有る。
グループ達成給はグループの予算が達成された場合に財務諸表の各数字や将来の投資計画などを睨みつつ、役職別、資格別に支給額が決定される。
事業部達成給は、事業部年間予算が達成された場合に、正社員、パート、役職などの区別なく、その事業部に所属する者全員に均等に支給される
(パートは勤務時間数などによって比例配分)
1人当たり15万~20万程度が支給され、経営利益の7%を占めたと言うことだ。

二、成績をもとに給与などが上下する成果主義。

個人の成績をもとに給与などが上下する成果主義では、自分が手抜きをすれば、それがそのまま自分の報酬に直結する。
しかし、拠点や事業部単価の場合は、一歩間違うと主体的な取り組みが、あやふやになってしまう危険を、はらんでいることは否めない。
そして、パートナーシャフトの本来の意味を正しく認識していれば、妨げるはずのことが起きてしまったのである。
成果配分はあくまでも”結果”である。
そこで九六年、それまで分社体制をとっていたグループ各社を合併し、事業部制に移行。
組織の大幅な改定や人事異動で刺激を与え、さらなる組織の活性化を図ると同時に「”新”経営理念」を策定し、パートナーシャフト経営の意味を再認識することを社員たちに求めた。
そこで打ち出されたのが、「”新”パートナーシャフト六つの心得」だ。
これは成果配分はあくまでも労使双方が協力する努力が不可欠であり六項目の心得が達成された結果として成果配分が実現することを協調し、その繰り返しで好循環のサイクルを創り出すべきと主張するものだ。
これは、組織改正などと併せて効果をあげているという。
でも、五年もすれば意識は変化するし、低下もする。
だから私たちは、企業と従業員がお互いに刺激を与えあい好循環する、素晴らしい会社を目指しているのです。
そう語る小川社長は「パートナーシャフトと素晴らしい会社」と題し、次のような文章を社員たちに配布している。
素晴らしい会社とはおいしいオニギリにたとえられる。
米(従業員)の一粒、一粒が自己主張をしつつもバラバラではなく適度なねばり気でスクラムを組み、海苔(理念)で一つにまとまり三角形という形(会社)に収まっている。
型にはまってはいるが個人の顔が見える。
外米のようなパラパラな自己主張の強い米はオニギリにならない。
ベチャベチャな水分の多い米で作った物も米の顔が見えない。
主体性がないからまずいのだ。
二十一世紀に向かって少子化、高齢化と言った面からすれば、一部の上場企業では売上、利益共プラスになる事が設備投資と雇用の拡大にもつながり、若い世代の求人を少しずつ拡大し、また企業によっては、中途採用者による即戦力スタッフの募集が始まっています。
現在の世相、将来に対する不安等は企業、個人共々有る訳ですが、「人、物、金、情報、スピード」と言った要素の中で、人作りほど大切な要素はないと言えましょう。
スタッフが会社の将来性のあるビジョンに共鳴し、未来を作り上げていく。
そして、スタッフの将来についても、経営者として、幹部スタッフの福利厚生、企業年金制度等を充実していかなければなりません。
そう言う投資もこれからの経営には必要不可欠な部分となってくるでしょう。
私共を取り巻く今後の問題としても、消費税の増額等が選挙後検討の課題とされており、「勝ち組」「負け組」の判別は、将来へ向かっての「ゆとり」を今の内から計画に入れて、増収増益のシステム作りする事が必要になっていきます。
新パートナーシャフト
「6つの心得」

一、 自主性発揮
二、 人間尊重と相互信頼
三、 明るい職場、厳しいが心暖まる職場づくり
四、 ビジョンの共有
五、 自己錬成
六、 主体性発揮・職責まっとう

目標達成

成果配分

パートナーシャフト
サイクル
(好循環化)

☆三ッ和グループにおける全パートナーとは、社長・幹部も含め、社員・準定社員・契約社員・嘱託社員に至るまでの全員のことを言います。

☆全パートナーは、入社時に、右記の「6つの心得」と、それに伴う具体的制度、成果の配分(メリット)とリスクの配分(デメリット)についての説明を受けます。

株式会社 三ツ和
代表者・小川純    本社・東京都中央区
創業・1953年   資本金・1億3800万円
売上高・75億円   従業員数・1000名
事業内容・「小諸そば」のFC展開、製麺事業、食品卸他