“集中” サービス格差は、人材力の格差なり
今年も早や年の瀬を迎え、一年間の過ぎ去る早さは、近年まれに見るスピード感で体験したように思います。
戦後の日本で今年ほど私たちの日常生活に、平和と安全を意識した年はなかったのではないでしょうか。
アメリカテロ事件を通じ「平和と安全」を勝ち取ることは、多大なコストと犠牲の上に成り立っており、また我々の意識改革や共同歩調が多大なコストと犠牲を持たないと生まれない事も教わったと考えます。
また経済に於いても、企業の海外進出による国内の空洞化、雇用者の大量リストラ等、先行の不安感が増し、消費も冷え、特に九月、十月、十一月の3ヶ月間を見ても、厳しい状況下にあったと察します。
そこで人材面について統計的にどうなっているかを表記してみますと・・・
美容室全体の総収入は平成6年度1兆6963億円から、平成11年は2兆4437億円と30.6%も跳ね上がっている。
収入と美容室数、従業者数から推し量ると1美容室の年間収入平均「1409万円」1従業者数のそれは「525万円」1ヶ月売上43万8000円が1従業員の平均値になる。
組織別美容室数、収入、経費、給与
美容室数 収入金額 経費総額 うち給与
全体 173,412 2,443,752 1,911,860 925,129
個人 146,303 976,58 656,253 263,557
会社 27,080 1,466,995 1,255,463 661,466
1美容室・1従業者収入(平成11年、収入金額は百万)
美容室数 従業者数 収入金額 美容室収入 従業者収入
173,412 465,145 2,443,752 1409万円 525万円
売上に占める給与・経費
総経費は全体の78.3%
(平成十一年)
給与 その他の経費
全国平均 37.9% 40.4%
個人経営店 27.0% 40.2%
会社組織 45.1% 40.5%
従業者規模別美容室数
1~4人規模が85.5%
(平成十一年)
総美容室軒数・・・173,412店
規模 店数 割合
1~4人店 ・・・148.264店 ・・・85.5%
5~9人店 ・・・ 19,152店 ・・・11.0%
10~29人店 ・・・5,705店 ・・・3.3%
30人以上店 ・・・292系列 ・・・0.2%
就業者の動向として
また、2000年度厚生労働省「賃金構造統計調査」によりますと
* 就業者数は6443万人。
前年同月に比べ37万人の減少。
5ヶ月連続の減少。
*男性は21万人、女性は17万人の減少。
*就業者のうち、雇用者は前年同月に比べ16万人の増加。
16ヶ月連続の増加。
*自営業主、家族従業者は 1043万人。
前月同月に比べ61万人減。
19ヶ月連続の減少。
*主な産業別就業者数を前年同月に比べると、運輸、通信業及びサービス業は増加、その他の産業は減少。
*非農林業雇用者数及び対前年同月増減。
厚生労働省
「賃金構造統計調査」
(単位千円)
職 種:美容師(女) 平均年齢:30.9歳
年齢階級 勤続年数(年) 決まって支給する 所定内給与額 年間賞与その他
現金給与額 特別給与額(99年)
計 6.8 230 222.7 204.5
18~19歳 1 160.6 158.3 38.6
20~24 3.2 182.4 172.2 137.9
25~29 5.5 244.5 239.5 212.8
30~34 7.1 280.9 273 220.6
35~39 8.1 260.2 249.2 276.7
40~44 12.4 279.9 273.8 267.5
45~49 9.1 253.4 248.9 266.7
50~54 17.8 271.8 268.3 330.9
55~59 21.9 324.5 323.7 463.1
60~64 10.8 219.9 219.9 288.9
65歳~ 38 287.8 287.8 486.3
年齢階級別完全失業者数及び完全失業率
男 女
完全失業者 完全失業率 完全失業者 完全失業率
対前年 対前年 対前年 対前年
(万人)同月増減 (%)同月増減 (万人)同月増減 (%)同月増減
15~24歳 42 2 10.9 0.8 30 2 8.3 0.6
25~34 47 2 5 0.1 41 1 6.8 0.1
35~44 29 6 3.7 0.8 23 6 4.4 1.1
45~54 33 3 3.5 0.3 21 1 3 0.4
55~64 43 0 6.6 0.2 16 1 3.9 0.4
65歳以上 9 0 2.8 -0.1 1 -1 0.5 -0.5
55~59 18 2 4.7 0.8 9 1 3.6 0.6
60~64 25 -2 9.3 -0.7 7 0 4.4 0
2001年4月末日より、インターン制度廃止による通信生の減、すなわち働きながら通信教育を受ける方の減少と少子化の波はここ数年現実に人材不足化と相成って、深刻な問題となっています。
でも図表の失業率の中で、男女共15才~24才の方々の失業率が高い事と、われわれサービス業に於いては、この年代の求人企業は多くあり、学校は卒業したが、仕事に就いていない方々を再教育し、私共の業界上げて誘い込みをする必要が有ると考えます。
そうする事が男子42万人、女子30万人の失業者の中から、美容師になることへのすばらしさ、やりがい、生きがいなど就業を通じて実感でき、また社会貢献出来るすばらしさをも体感出来るわけです。
そういうことなどで求人不安をなくす努力をする事が大切ですし、二代目への引継ぎに於いても「夢と希望」が十分持てる職業、及び企業として育成すべき課題にさしかかっている様に存じます。
勝ち組み、負け組みと言われる昨今ですが、われわれの業界は人財なくして、成り立たない職種であります。2002年度はサービス力が問われます。
サービスの良し悪しは、そこに働く人そのものです。
それは教育、良識、接客、行動力、技術力、感性、スピード、創造性等々すべて求められてきます。
人間は耳が二つ、目が二つ、鼻のあなは二つ、口一つと言った具合に、人間の体で大切なものは全部二つ備わっていますし、控えめにすべき物は一つとさだまっております。
来年こそ『人材育成=店づくり』を心掛け、頑張ってみたいものです。