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M-press『宝の持ち腐れ』 ― 集団のチームワークとリーダーシップ考 ―

2014年07月01日

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役に立つ素晴らしいものを持っているのに、その使い道を知らなかったり、出し惜しみをしたり、しまい込んだりして、それを十分に活用できずにいるたとえで使われることわざです。

せっかくの価値のあるものを持っていながら、それを利用できないでいることや、すぐれた才能や技能を持っていながら、それを活用できないでいることは、残念でもったいない話です。

英語では、『Not possession  but use  is  the  only  riches.』(=所有ではなく、使用することが富というもの)と使われるようです。

リッチ=富と訳しましたが、物質的や金銭的な贅沢ということよりは、むしろ心の上での豊かな気分とか、楽しい時間のようなものの方が近いのかなって思います。

この英語の慣用句に近い表現が、『使ってなんぼやねん』という大阪弁です。

また、ポゼッション=所有ですが、現在開催中のサッカーワールドカップブラジル大会の中継放送で多用されている単語でもあります。

ポゼッションは、所有の他に占有、占有率、支配率などとも訳されます。

サッカーはボールを持っている人が王様で、次の行動を支配し、ゲームをコントロールできるスポーツです。

そこで、味方がボールを持っている限り、相手に得点を奪われる可能性は無いという考え方が元になり、チーム全体でパスを回して、味方が常にボールを保持し、試合の主導権を握ろうという戦術が考えられました。

これを、ポゼッションフットボールと呼んでいます。

不確実なロングパスを極力使わず、細かいパスで自陣ゴールキーパーからディフェンス、ミッドフィールダー、フォワードまで全員で細かくパスをつなぎ回していき、相手にボールを渡さずに支配し、ボールを奪いにくる相手チームを体力的に消耗させて、自チームは体力を温存する作戦です。

ボールを奪ったら即ゴール目指して突き進む、堅守速攻(カウンターアタック)や、ロングフィード(ディフェンス最後尾から中盤を飛ばして最前線にロングパスを送る)のような、すぐに点に結びつくスピード攻撃と対極にあるのが遅攻型のポゼッションフットボールであり、従ってチーム全員の技術レベルが高いことに加え、意思疎通ができたチームワークの共同歩調が必要な作戦とされています。

相手チームにじっくりと引かれて陣形を整えられて守られてしまい、自チームにそれをこじ開けるスキルがなければ、ゴールできない作戦でもあるのです。

イングランドのチェルシーFCがモウリーニョ監督時代にこのポゼッションフットボールを使ってのし上がり、スペインリーグのリーガ・エスパニョーラのFCバルセロナのグラウディオラ監督もこの戦術を取り入れています。

バルセロナには、前線で一人の力で突破できる能力があるアルゼンチン代表のメッシがおり、相手が大勢で陣形を整えて守っていても、ゴールできる自信があるからこの作戦がとれるのです。

代表チームでは、ブラジル代表やアルゼンチン代表がこのポゼッション重視型のチームだと言われています。

現在の日本代表もどちらかというとこのポゼッション重視型で、それに前線でボールを奪った際の速攻を組み合わせた形といわれます。

さて、この原稿を書いている時点で日本代表は初戦のコートジボアールに惜敗し、二戦目のギリシャ戦を目前にどう立て直すか必死です。

どちらかというと、スピード重視でカウンターアタック型といわれるコートジボアールに、ボールポゼッション(支配率)でも上回られてしまったことが、大きな問題だったのです。

そんな組織重視型スタイルの日本が、ボールを相手に奪取され支配される時間が増えて浮き足立ち、後半ではシステムが機能せず、キャプテンが退いたためにリーダーシップも機能しなかったと論評されています。

このコラムがお手元に付く頃には二戦目、三戦目が終わってグループリーグの結果が分かっている頃かも知れません。

今回は、そんなサッカーの話と重ね合わせ、企業や店舗などの組織のチームワークとリーダーシップについて考えていこうと思います。

《宝の山に入りながらも空しく帰る》

中国の古典『正法念処経』に載っている「汝(なんじ)人の身を得て道を修めざれば、宝の山に入りて、手を空しうして帰るが如し」が起源のことわざです。

宝の山まで辿り着き、そこに入りながらも、何一つ得られずに、手ぶらで空しく帰る有り様が載っています。

だから、人の道を修めないとだめですよって、原典では諭しています。

このことわざは、ここぞというチャンスや大きな利益を得られる機会に恵まれながら、結局は何も得られずじまいとなってしまうたとえで使われています。

英語では、『You  starve in  a Cook`s  shop』(=飲食店に居るのに飢える)と、笑える表現を使うようです。

今回のワールドカップの優勝国に与えられる賞金は35億6千万円、準優勝で25億5千万円、三位で22億4千万円、ベスト8進出で14億円、グループリーグ敗退であっても参加準備金として事前に一律支払われる1億5千万円を加えて、計9億7千万円が参加国に支払われるそうです。

準備金を除いた賞金だけの合計で、なんと586億4千万円の総額、これは広島県尾道市の年間の予算規模にほぼ匹敵します。

約14万人が住む尾道市の年間経費に相当する賞金総額なのです。

このほか、選手を送り出す各所属クラブにももれなく補償金が支出されるそうで、その総額も約71億円です。

グループリーグ敗退の10億円弱が、ベスト4だと2倍以上、優勝すれば3倍にまで膨れ上がるのです。

当然、選手各個人に与えられる分配金も比例して高くなります。

もちろん、お金だけの問題ではなく、幼い頃から夢見てきたW杯本大会の大舞台まで出場できて、勝たずに帰ってきては、文字通り『宝の山に入りながら空しく帰る』ことに他なりません。

サッカーばかりではなく、企業を起した経営者、店舗を開いたオーナー事業主の皆さんも、既に大舞台に出場しており、実は宝の山に既に居るのだと思います。

要は、掴んで帰るか、それとも手ぶらで帰るかの違い。

同様に、企業や店舗に従事されているすべての皆さんも同様に、既に自分の人生の晴れ舞台に立っているのだと思います。

それを、認識しているか否かの違いで、結果が変わってくると思うのです。

《寝た子を起す》

ようやくおさまった騒ぎに、無用な手出しをして、再びやっかいな事態を引き起こすことをいうことわざです。

また、せっかく忘れかけていたことを思い出させるようなことをするたとえでも使われます。

近いことわざでは、『平地に波瀾(はらん)を起こす』や、『やぶをつついて蛇を出す』などがあります。

英語では、『Wake  not a slepping  lion』(=眠れる獅子を起こすな)と、使われます。

いずれにしても、あまり良い意味で使われず、そっとして放っておけといったような、消極的意味で使われることが多いようです。

しかし、リーダーには、その人をゆり動かし、眠れる獅子を目覚めさせ、潜在的能力に気付かせ、才能を開花させ、積極的に『寝た子を起こす』ことも必要です。

監督やコーチ、キャプテン、経営者、マネージャーといったリーダーの仕事の最重要項目はこれだと思います。

『知恵のない子に知恵つける』ということわざもありますが、そちらに近い目覚めさせが大切と思うのです。

社会には様々な集団があり、人間は多くの何かしらの集団に属することになります。

家庭や企業、地域、学校、サークルなどです。

集団には基本的にリーダーが存在し、良いリーダーシップ行動によって組織は活性化していきます。

そういった組織集団には必ず目的・目標があり、それを成し遂げるために多くの人々が協力しています。

つまり、組織集団には、その目的達成の面と、所属する人の気持ちの面との、二つの大切な柱があります。

以下の2つの機能です。

① P機能…

(パフォーマンスファンクション=目標達成機能)

② M機能…

(メンテナンスファンクション=集団維持機能)です。

これは、PM理論と呼ばれるもので、九州大学教授から大阪大学名誉教授になった社会心理学者で、文学博士でもあった三隅 二不二(みすみ じゅうじ/じふじ)氏が1966年に提唱したものです。

博士は、集団機能という観点からリーダーシップとは何かを考え、その尺度をはっきりとさせるために類型化を試み、450項目にも及ぶ行動からリーダーシップを測定し、その分類整理を進めた結果、PとMの二つの柱の組み合わせによる分析法を編み出しました。

どのようなリーダーが良いリーダーかなど、リーダーシップを科学的・実証的に分類するためには、リーダーがどの程度リーダーシップを発揮しているかを測る「ものさし」(測定尺度)が必要だと考えたのです。

P機能は、目標設定や計画立案、指示などにより、課題を解決し、集団が生産性を高めるような働きのこと。

M機能は、人間関係に生じた緊張を解消し良好に保ち、対立抗争を和解に導くなど、集団のチームワークを維持し強固なものにするような働きをすることです。

例えば、飲み会を開いて日頃の労をねぎらうことなど人間関係中心の機能です。

PM理論では、この2つの機能の強弱によって、リーダーシップを4つの類型に分類して評価していきます。

PM型・Pm型・pM型・pm型の4種類で、アルファベットの大文字はその特徴が強いこと、小文字はその面が弱いことを示します。

PM型…生産性を高め、目標を達成する力もあり、集団を維持しまとめる力があるリーダーの理想型人物。

Pm型…生産性を高め、目標を達成する力はあるが、集団を維持しまとめる力は弱い。

pM型…集団を維持し、まとめる力はあるが、生産性を高め、目標を達成する力は弱い。

pm型…生産性を高めることができず、目標を達成する力も弱く、集団を維持し、まとめる力も弱い。

問診表に答えていって、4つの分類に分けていくPM診断法も確立されています。

そして、この4種のリーダーが集団に及ぼす効果についても、45年以上の実証的追跡研究がなされて、以下のような結果や傾向が導き出されています。

その集団の効果の基準を、構成員の意欲や満足度向上、職場のコミュニケーション醸成、顧客クレームや事故の減少に置いてみた場合…

1位PM型→2位pM型→3位Pm型→4位pm型

その集団の効果基準を、目標達成、業績向上、生産性向上等に置いてみた場合…

長期的には、

1位PM型→2位pM型→3位Pm型→4位pm型

短期的には、

1位PM型→2位Pm型→3位pM型→4位pm型

となり、長期で同じメンバーで取り組む場合には、より人間関係調整要素が重要となってきます。

リーダーシップについては、今後も取り上げていきます。

組織には最も重要な要素のひとつとして認識し、経営的にも、個人の適性を見て組織の編成が必要なのです。

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ビューティ-クリエータ-のための情報誌   No.209 マックス企画室