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『人事を尽くして天命を待つ』 ― 今、打つべき策は何かを考える ―

2009年12月20日

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「力の限り努力し、それ以上は、天の定める運命にまかせる」という意味の諺です。
中国の古典「初学知要」の漢文を日本語読みしたものだそうです。
「人事」は人の力でできる事がらのことで、「天命」は天が人に与える運命のことを指します。
「人事を尽くして天命に委(まか)せる」ともいいます。
英語では、「Heaven helps those who help themselves.」(天は自ら助くる者を助く)、「Do you best,and let God take care of the rest.」(最善を尽くせば、あとは神がやってくれる)と表現するそうです。
さて、人間は自分の思い通りにものごとが進まない時、周囲の人や環境に原因を求めがちになると思います。
「景気が悪い」、「政府が無策」、「米国の外圧が悪影響」などと叫んでみても、自助努力をしっかりとしていなければ一向に改善されていかないのではないでしょうか。
景気低迷が「暮らし」や「経営」の面まで危機感を与えているとするならば、生存の為に打つべき手をできる限り打つ必要があります。
人類は本来、酷暑や厳寒、風水害などの大自然や、野獣などの外敵とチームワークで戦いながら、生存してきた歴史があります。
都市化された社会や長期に渡る平和、高度成長などを経て、日本人全体が制度的に守られているような錯覚をしがちになり、環境適応能力が弱くなってしまっている様にも見えます。
「こんな景気だから仕方ない」と、ゆったりと大きく構えて余裕を持って受け流すのもひとつの方法かも知れませんが、これは充分な蓄えがある企業、店舗の話ではないでしょうか。
事業の存続や社員・家族の生活がかかっている大多数の方は、じっとしている訳にはいかないはず。
今回はそんな時代にサロンとして打つべき手を皆様と一緒に考えていきたいと思います。

《事業仕分け》

今年話題を集めたのが、新政権による事業仕分けです。
枝野幸男衆議院議員や蓮舫(本名・村田蓮舫)参議院議員等民主党の精鋭部隊と民間の専門家や知識人、財務官僚が、予算を申請している側の省庁や事業責任者から意見聴取して、予算配分の基本的判断を示すというものです。
遠山の金さん流に表現するならば、「そのほう達、言い分があったら申し述べよ!」、「早速吟味致す!」といったところでしょうか。
今まで、密室談義や陳情といった国民に見えづらい形で税金の使い道が決められていたものを、公開作業にして国民に議論が見えるようになったのは良かった点と思います。
一部では決定の方法が強引であるとか、一方的であるなどの批判もあり、ノーベル賞受賞の科学者の皆さんからの学術研究にかかわる予算削減についての反対意見会見や、五輪選手等によるスポーツ振興や強化予算削減に対しての反対表明もありました。
本来は、単に節約や削減といった、いかに減らすかという行為そのものが目的なのではなく、限られた税収(一部では隠されていた埋蔵金とやらも存在するらしいが)をどのように有効配分するかというのが大きな目的で、そのために費用対効果が疑わしいものや、各省庁で同じようなことをしている無駄を省く作業をしたのが事業仕分けです。
一番問題なのは、配分された予算がその目的通りに有効に活用されずに、天下り役人のためにつくられた外郭団体の維持費用や人件費、退職金等に消えていっている無駄だと感じます。
中には、ほとんど仕事もせずに、仕事を下請けに丸投げし、その下請けも天下り団体で、その下請けも孫受けに丸投げしていたということが浮かび上がってきたことで、無駄遣いが明らかになり、意味があった事業仕分けと思えます。
不況で苦しむ国民の血税が、目的通りに使われずに、特殊法人の無駄遣いや、埋蔵金としてプールされたりしていたこともあったのです。
さて、蓮舫議員は主婦でもあり、記者からの「家庭内でも事業仕分けをするのですか?」の質問に対して、「我が家ではもはや事業仕分け出来ないほど、徹底的に既に家計は絞り込んでいる。」といった主旨の返事をしたと報道されています。
政府や蓮舫家と同じように、現在は一般家庭でも奥様達が必死の思いで、家計の事業仕分けをしているのではないかと小生は考えています。
新聞は、製造業集計で昨年比約15%の賞与ダウンを伝えています。
期待していた賞与が半減する見込みや、全然出ないと通告された方も多いと思いますし、年末ギリギリに支給が遅れる場合や、取扱商品の現物支給に一部振替をされる給与所得者もいらっしゃるのではないでしょうか。
景気低迷で法人税の税収減が確定的な政府同様、家計でも収入減が見えている以上、主婦としては家計支出の見直しを迫られている状況だというように見えます。

《家計の仕分け》

家計の収入減が予測されれば、主婦としては限られた原資の使い方の割り振り、見直しを迫られます。
衣食住に関する出資の見直し、保険料や自動車の経費、遊興費や趣味・娯楽など、多方面に渡って見直しをされているのかと推察されます。
家庭内での家計事業仕分けです。
水道光熱費や住宅ローンなどの固定費は簡単に減らすことはできません。
お風呂の回数を減らす、照明やテレビをこまめに消すなどで、節約は可能でしょうが、固定経費は大きな額の減額にはなりにくいと思われます。
それらは、生活必需の消費だからです。
生活必需の消費は、節約対象にはなりますが、ゼロにまで無くすことはできません。
従って、生活必需の消費以外からの削減をしていかなければなりません。
他方、心を豊かにするための消費は、楽しみや生き甲斐にも通じることなので、本来は止めたり減額したりしたくはないのですが、こちらからも大幅削減せざるを得ません。
車での外出はガソリン代がかかるので少し我慢をして回数を減らすとか、ゴルフに行く回数を減らすとか、洋服を買うのを控えたりということになります。
中でも、旦那さんの経費は一番削られやすいとも聞きます。
お小遣いを減らされたり、「新しいスーツやコートは我慢して、革靴も穴が開くまで履き潰して頂戴」などと厳しい節約を迫られている旦那さんも多いことと思います。
男性関連の業種の売り上げ低迷が特に深刻なのは、そういった理由もあるのでしょう。
それでは、女性のファッション関係への支出はどうでしょうか。
当然、一部では洋服、装飾品の買い控えが起きていることでしょう。
健康や美容にかかせない化粧品や健康食品は、止めることはできませんのでそのまま続けられると思われますが、代用が効くと判断されたものは、低単価のものに変えられる可能性があると思います。
以前より当コラムで、理美容業は、心を豊かにする消費として、ファッション目的での訪店を楽しみにする方と、生活必需消費として、伸びてしまったからと身だしなみとして現状復帰を主目的とする方の、二種類のお客様に分けられると推察してきました。
来店サイクルが伸びたり、来店客数が減ったり、一部のお客様が低単価サロンに流れたりといったことは、このことに関係があると考えています。
ヘアカラーについても同様のことが言えると思います。
白髪を隠したいから、しっかり染まっていれば良いと思う認識しか持っていないお客様は、今までサロンカラーを施術されていたとしても、これからは市販のシャンプーカラーに流れる可能性もあると考えられます。
また、ファッションカラーでも、サロンカラーの仕上がり感の良さや調色テクニック、微妙な色出しなどの素晴らしさや違いをお客様が理解できていなければ、ホームカラーに流れてしまう可能性があると思われます。
傷みやムラ染めに無頓着な消費者も、市販カラーに移行する可能性が高いのではないでしょうか。
いずれにしても家計の出費見直しは、すべての項目で見直されるので、単純にサロン業界内での、「安いからこっちのサロンへ行こう」といったサロン選択ばかりでなく、「食費を削ってサロンに行く」、「サロンへ行くのを先送りして洋服を買う」といったような、多方面の支出の中での比較も起っているのかと想像することもできます。
そんな中、大切なのは魅力ある選ばれるサロンづくりと、技術的・精神的満足度を高める努力をすることです。
他の支出をさておいてでも、サロンに足を運んでいただく価値観を持ってもらうことが重要と思います。
満足度を超えて、喜びや、予想以上の驚き、感動を与えて、消費全体の中でサロン訪店での支出を選んでいただかなければならないと考えます。

《ベンザ対ルル》

どちらも日本を代表する市販製薬会社の看板風邪薬のブランド名です。
この2つのブランド名はどちらも50年以上使われ続けています。
さらに古いブランドは大正製薬のパブロンで、1927年発売とのことなので今年で82年にもなります。
漢方では、神戸の会社のブランド・改源は85年の歴史だそうです。
ベンザは武田薬品工業のブランドで、1955年に発売され、現在まで愛し続けられています。
ルルは1951年に三共から発売され、その後第一製薬との合併(2006年)を経て第一三共となっても中心ブランドとして生き残り、2007年に旧山之内製薬と旧藤沢薬品工業が合併してできていたゼファーマを吸収合併後に、山之内のブランド・カコナールと藤沢のブランド・プレコールと併売になっても、今もなおルルは中心ブランドに位置づけられています。
「ベンザ」も「ルル」もたくさんの種類の風邪薬を持つシリーズですが、現在力を入れている種類が対照的で、マーケティング戦略の違いがはっきり見てとれるように思います。
ベンザは、現在「ベンザブロック」という製品を中心に据えてプロモーションしています。
仲間由紀江さんが「あなたの風邪、辛いのは?」と優しく問いかけます。
「私は鼻が・・・」
「私は熱が・・・」
「私は喉が・・・」
黄色のベンザの乙葉さん、青のベンザの松本志のぶさん、銀のベンザの寺脇康文さんがそれぞれ答えます。
そして、「あなたの風邪に狙いを決めて、ベンザブロック」とコマーシャルソングが流れます。
そうです、症状別に合わせた個別対応型マーケティングの手法です。
一方ルルは正反対の戦略を取ります。
ゴルフの石川遼選手が、「家族の風邪の喉にも鼻にも、ルルはぜーんぶ効きます。」と力説しています。
そして、「家族みんなにルルが効く」とコマーシャルソングが流れ、「一種類で家族全員が使えますよ」との節約メッセージを暗に示しています。
ルルもシリーズ内で各種揃えながら、総合感冒薬(オールインワンタイプ)に絞ってプロモーションしています。
症状に合わせてピンポイントで効くというベンザの訴えかけで、「この方が効きそう」「ぴったり合って効けば安上がり」と考える消費者も居れば、ルルの様に「総合的薬の方が治る確率が高いかも」「この方が外れる確率が低いので結局安上がりかも」と考える消費者も居ると考えたと思います。
どちらが正しいとか、どちらに統一しなければならないということもなく、どっちも有りなのです。
私達サロン業界でも、シャンプーやトリートメント類の種類分けで同様のことが見られます。
全髪質共通で使えるタイプのものと、「パサつく」「コシがない」などの症状や髪質別に分けたタイプの製品群、「カラー毛用」「酸性カラー用」「パーマ用」「ストレート施術後」の様に技術別に分けたシリーズ等あります。
どれが正しいということはなくて、サロンのお客様に対するアプローチの考え方によって、使い分けていくのが正解だと思うのです。
以前は、家族全員が別々のシャンプー&トリートメントを使う「ベンザブロック」型が主流となりつつありましたが、節約指向の時代では、「ルル」的に家族全員で、大容量お得タイプを使うことが多くなるかも知れません。

《打つべき手とは》

消費者の節約指向はまだしばらくは続くと考えられています。
少子高齢化も進んでいます。
今まで通りの営業スタイルを続けているだけでは、サロンのお客様総数は確実に減少していく時代です。
それでは、チラシや広告を打てば、客数減を改善できるのでしょうか。
宣伝すること自体は悪いことだとは申しませんが、その前にやることがあると思います。
まずは、考えて考えて、考え抜くこと。
スタッフや関係者を交えて話し合って、知恵を出し合うこと。
そして、サロンの主張を明確にして、それに合わせた技術と商品を強化していくことです。
以上ができて、他店との違いを明確にする打ち出しをした上で、それを消費者にしっかりと認識づけることができなければ、タウン誌やクーポン誌にたくさん載るサロンの中で、特徴のないサロンとして埋没します。
「ルル」や「ベンザ」でさえ、はっきりした打ち出しをして、違いを明確に演出しているのです。
現在、サロン様も事業仕分け的にお金の使い道の見直しを計られていることと思います。
基本通りに、営業に直接かかわらない固定経費から、まずは見直しをしていっていることと思います。
しかし、中には技術や売上に直接関わる原材料のコストを闇雲に下げるために、原価優先の安易な原材料転換や、業務用品を深い考えもなく単純に間引きする例も間々見受けられます。
まずは消費者のことを考え、お客様が安心・信頼できる材料選択や、仕上がり感とお店のコンセプトに合う技術に適した製品かなどを、充分に考えた上で判断していくべきだと思います。
そして、消費者に思いが届くメニュー打ち出しをして、技術力・デザイン力・ケア力を高め、お客様に感動していただける店づくりを再点検する、そんな当たり前で基本的なことからしっかり見つめ直すことが、今は一番重要だと考えますが、いかがでしょうか。

神戸メンタルサービス・カウンセラー・前田薫氏のブログ「どっちもあり♪」を参考にしました。

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