商道とは自我の欲求ではなく、他利への奉仕
記念すべき二〇〇〇年も、はや八ヶ月が過ぎようとしています。
美容業界も二極化が進み「勝ち組」「負け組」がはっきりと見えて来ています。
今回で四三号を迎える[Mプレス]ですが、発刊当初より将来を見据えて訴えて参りました。
「大美環ニュース」のアンケート内容の中で、経営者の高齢化、後継者不足、売上減少、経営課題等を察しますと、従来方式によるメーカー依存の情報収集、たとえば「ヘアースタイル」「メニュー化」「スタッフ教育」「経営指導」等、数々の提案は全国に同じように発信され、どのサロン様でも同じように知り得ていると思います。
では、なぜ格差が生じていくのか不思議でなりません。
人間社会での平等とは、その国の法律が有り、自然環境としては一日24時間の時間が有り、太陽の恵みは万物に与えられます。
われわれは「自由と平等」がどれほど有るかを知り、その中で、「教養・知恵」を身につけ、社会的使命をまっとうするために日夜努力しているわけです。
人間の一生は時間に直すと七五万時間と言われています。
生まれ育つ期間が三分の一、仕事のできる時間が三分の一、生きがいを感じる期間が三分の一と仮定致しますと、仕事のできる期間は二五年~三〇年間ぐらいになります。
その中には、就寝時間、食事をする時間等、色々な用件に時間を使いますので実際はその半分の時間での仕事のやり方、進め方で、「成功・否」に別れて来ます。
人間は「能力の差」ではなく「努力の差」と言われる通り、スポーツ選手がスランプに陥った時、もう一度基本に戻り、修練を重ねることにより、のし上がってきて、また活躍しています。
人間の体の構造の中で、顔全体で目が二つ、鼻の穴が二つ、口が一つ、また耳が二つの如く、人の意見を良く聞き、この目でしっかりと見て実感し、鼻で良い空気(環境)を感じ、自らの口からは真実は一つと言葉にし、常に自分の考えと、相手の考えを吸収し、新しい発想を作り出し「顧客満足」をどう捕らえていくかが重要です。
商売」と言う字は「商」を売ると書きますが、本当の「商」とはお客様あっての事であり、商道とは自我の欲求ではなく、他利への奉仕に尽きると存じます。
商売」の中で守りばかりに気をとらわれていると世間が見えず、この消費者マインドに乗り遅れてしまいます。
これから、もう一度チャレンジする精神力を養い、ある時は機関車になり、ある時は客車になりながら「商売」を進めたく思います。
また、年末商戦に向かい「8月~9月」にはしっかりとした「戦略、戦術」を組み立てて、新たな市場創出を作り「勝ち組」になるためのスタートにしたい
ものです。
アンケート結果(大美環ニュースより抜粋)
大阪府美容環境同業組合員数 3350人 アンケート回収数 1783人(53.2%)
調査日 1999年 10月~12月
経営者性別 女性 72.1% 男性 27.9%
経営者年齢 55歳~64歳 38.1% 65歳以上 11.5%
後継者難 女性経営者 55歳~64歳 62.7%無し 65歳以上 49.7%無し
男性経営者 55歳~64歳 60.8%有り 65歳以上 61.5%有り
立地条件 住宅街 61.3% 商店街 26.6%
年数/立地 ビジネス街 商店街 住宅街 工場住宅街
開業年数 9年以下 35.5% 12.7% 15.6% 3.1%
14年以下 0% 14.7% 12.3% 3.1%
15年以上 64.6% 76.6% 72.2% 93.8%
経営規模 A、経営者1名 37.1% B、経営者2名 25.6% A+Bが全体の62.7%
ビジネス街店規模 4~5人 48.4% 平均坪数 9.39坪
設備、備品の設置率 エステ用椅子22.4% エステベッド14.4% 着付室51.1% 音響51.5%
従業員内訳 管理美容師 37.3% 美容師 47.1% 実地習練生 5.9%
(年齢) 20歳~21歳 23% 45歳以上 31.2%
待遇 20~25万円 17% 20万円未満 28.9% 15万円未満 17.9% 10万円未満 13%
従業員規定有 給与規定 24.2% 有給休暇 18.1% 就業規則16.8% 退職金制度15.5%
経費収支 対前年売上比 65.5%がダウン 原因 顧客減少が 70.8%
店販品売上 年間平均売上 68万 年間平均売上10万以下のサロン 22%
経営課題 周辺同業者過剰で顧客減 54.4% 低料金店出店で減 25.2% 諸経費の上昇 20.4%
今後の経営方針 接客サービスの充実 42% 自社技術の特色 41.6% 店舗設備の改装更新 19.9%